研究課題/領域番号 |
20K20851
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研究機関 | 國學院大學栃木短期大学 |
研究代表者 |
中村 耕作 國學院大學栃木短期大学, その他部局等, 准教授 (30548392)
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研究分担者 |
早川 冨美子 國學院大學栃木短期大学, その他部局等, 教授 (20320632)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 歴史教育 / 音楽教育 / 博物館教育 / ワークショップ / 縄文土器 / 創造性 / 構造 |
研究実績の概要 |
1)2018年度に実施した栃木市立小野寺南小学校(小規模校全学年)での実践について、楽譜化し、論文にまとめた。この過程で、児童やサポート学生が文様構造をかなり意識し、それをふまえた音づくりを行っていたことを改めて確認した。但し、仕上がった作品は様々な音が混在し、聞いただけでは文様の特徴をイメージできないという問題が確認され、音づくりの技能的な課題が明らかとなった。 2)大阪府尼崎市立下坂部小学校での実践:研究分担者早川の紹介で、12月に2コマ×6年生2クラスの実践を行った。事前に音楽担当教員との議論を行い、我々の実践前の授業内で音楽づくりや、縄文・弥生土器の文様の付け方を体験してもらった。その上で、中村・早川による出張授業において、土器文様の観察および音楽の構造をふまえて文様構造を音に置き換える実践を行った。6年生が蓄積してきた技能と、事前授業の効果もあり、音を聴くだけでも文様構造をイメージ可能なものに仕上がっており、音に変換するという当初の目標は概ね達成することができた。また、今回は尼崎市歴史博物館の協力で市内の弥生土器も提示したほか学芸員による解説のなかで校区内にも弥生時代の遺跡があることなどの説明があり、身近に遺跡を感じるという目標も達成することができた。一方で音楽教育の専門家からは、出来上がった作品は創造性のある「音楽づくり」という観点では不十分であり、創造性を追求すると土器から離れていってしまうという問題点が指摘された。 3)音楽教育・博物館教育の理論的検討:2での課題をふまえ、改めて音楽科と他教科のコラボレーション、博物館ワークショップにおける創造・表現の目的・方法についての実践例を広く収集し、理論的な検討を進めた。 4)関連事例の調査:山形県長井市の縄文まつりを取材したほか、研究協力者に依頼して全国の国指定史跡にかかわる遺跡まつりに関してWeb上の情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた遺跡まつりなどの現地調査は1か所のみとなり、博物館でのワークショップは年度内には実施することができなかったため、学校教育の場での実践と課題の抽出に留まった。下坂部小学校では研究開始当初に目標としていた音づくりは達成できた一方で新たな理論的課題を認識することとなった。また実践そのものはこの1回しか実施できなかったが、オンライン会議システムによる広範な意見交換の場を得ることができるなど、研究の基盤づくりという点では大きな進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
博物館や遺跡現場でのワークショップを実施し、学校教育の場との比較研究を実施するほか、音楽教育・歴史博物館以外の分野を含めた意見交換・ワークショップを理論・実践の両面から進める。また、遺跡の活用における音楽の意義については広く事例を収集し、検討会を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりワークショップ・現地調査を次年度以降に延期したことによる。
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