本研究では、学習者の表情や行動の変化、さらに心拍数や体温、視線、脳波、脳血流量などの生体情報の変化から、学習者の授業に対する理解度をリアルタイムで可視化して共有できるシステムを開発することを目指している。研究はStep 1:データ収集、Step 2:パターン分類、Step 3:有効性評価の手順で進める計画であり、令和4年度は、Step 1のデータ収集として難易度の異なる英語動画教材を被験者が視聴し、実験中の表情・表面温度・指尖容積脈波・視線・皮膚コンダクタンスについて計測を行った。Step 2のパターン分類として、これらのデータのうち、指尖容積脈波・視線・皮膚コンダクタンスについて、理解度との相関に着目して解析した。Step 3における有効性評価について、指尖容積脈波の時系列データからは、理解度の主観評価が高くなるにつれて、心拍と考えられる周波数の値が減少する傾向が見受けられた。皮膚コンダクタンスの時系列データからは、理解度の主観評価が高くなるにつれて皮膚コンダクタンスの急増回数が減少する傾向が見受けられた。顔表面温度の時系列データからは、理解度の主観評価が高くなるにつれて、顔表面温度の傾きが減少する傾向が見受けられた。生体情報が理解度推定の指標となる可能性が示され、今後の研究推進において示唆的な情報が得られた。この成果について、「動画を用いた英語学習時の理解度の推定」と題して第28回高専シンポジウムオンライン(2023年1月28日、オンライン開催)での発表を行った。
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