研究課題/領域番号 |
20K20867
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 実験心理学 / 身体感覚 / 内受容感覚 / 加齢 |
研究実績の概要 |
身体表象には,視覚や固有感覚などの外受容感覚に加えて,内臓系や自律神経系など身体内部から集まる各種生体情報に基づく感覚である内受容感覚が身体表象に深く関与することが示唆されている。内受容感覚は身体表象の安定性を生み出す基盤である一方,外受容感覚は身体表象の周囲環境への適応を促す基盤である。これらが拮抗して作用することによってバランスのとれた身体表象が形成・更新されると考えられる。若齢者の身体知覚では内受容感覚の精度が高いほど外受容感覚による影響を受けにくいなど,ベイズ理論に基づく情報統合を示唆する知見がある。しかし,高齢者の身体知覚に対する内受容感覚の影響を調べた研究はない。そこで本研究では,高齢者の身体表象の形成・更新プロセスおける内受容感覚の影響をベイズ理論の枠組みを利用して解明することを目的としている。 本年度は,高齢者に特徴が顕著にみられる身体位置知覚を対象として,ミラー錯覚の錯覚量や時系列的変化と内受容感覚との関係性について調べた。内受容感覚の正確さは心拍カウント課題で,内受容感覚に対する敏感さはMAIA-Jを用いて測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大により,長期にわたって高齢者を対象とした対面での実験ができなかったため,「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度得たデータについて解析をすすめる。また,新型コロナウィルス感染拡大により対象となる高齢者が限定していたため,今後は相関解析に十分なサンプルを得ていく予定である。さらに,身体位置知覚のみならず,ラバーバンド錯覚等身体知覚に関わる諸現象を対象として知見の一般化をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,新型コロナウィルス感染拡大の影響によって,長期にわたって高齢者を対象とした対面実験を実施することができなかったほか,資料収集や成果発表のための出張を中止した。そのため,未使用額が生じた。未使用分は,本年度実施する高齢者および若齢者を対象とした実験謝金のほか,成果発表経費(学会発表,英文校正,論文掲載料)にあてることとする。
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