研究課題/領域番号 |
20K20868
|
研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
榊 美知子 高知工科大学, 総合研究所, 客員准教授 (50748671)
|
研究分担者 |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 教授 (90447855)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 仮想現実 / 共感 |
研究実績の概要 |
二年目である本年度には,大きく3つの成果がある。第一に,初年度に発展途上国で収集したデータを解析した。特に本年度は個人ごとに脈拍データを解析し,心拍変動と貧困がストレス経験に与える影響についての解析を行った。第二に,動画とヘッドマウントディスプレイを使って,「日本にいながら発展途上国における貧困層の生活が体験できる」仮想現実の実験デザインを作成するために,ヘッドマウントディスプレイを利用した予備調査を実施した。更に第三に,こうした予備調査の結果をもとに,刺激を選定し,発展途上国の生活を仮想現実空間で体験することが共感に与える影響を調べる実験をデザインした。なお,共感に関する先行研究ではもっぱら自己報告式質問紙が利用されてきた。ただし,回答者がどの程度自らの共感能力を客観的に回答できるのかについては疑問が提示されてきた。そこで本年度は,共感にかかわる行動指標を網羅的に概観した上で,Cameron et al. (2019, Journal of Experimental Psychology: General)のパラダイムをもとに,新たに共感への動機づけを測定する課題を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二年目である本年度は,三つの目的があった。第一の目的は,初年度に収集した途上国におけるデータの解析である。これは当初の予定通り進行している。第二の目的は,動画とヘッドマウントディスプレイを使って,日本にいながら発展途上国の生活における貧困層の生活が体験できる仮想現実の実験デザインを作成することである。こうした目的を達成するため,ヘッドマウントディスプレイによる仮想現実空間を使用した予備調査を実施し,刺激の選定を終了した。そして第三の目的は,第二の目的で作成した実験デザインをもとに,発展途上国の生活を仮想現実空間で体験することが共感に与える影響を調べることであった。当該目的については,共感を測定する課題のプログラミングを含めて,実験のセットアップは終了している。ただし,コロナウィルスの流行により,対面実験を実施しにくい状況が長く続き,本実験には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は発展途上国の生活を仮想現実空間で体験することが共感に与える影響に関して,データの収集を開始する予定である。また初年度に実施したナイジェリアで収集したデータに関してもデータの解析を進め,論文の執筆を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスによるパンデミックにより対面実験や学会発表のための出張が困難だったため。次年度は対面実験をできるだけ早く開始すると共に,成果を積極的に国内外での学会で発表することで予算を使用する予定である。
|