研究課題/領域番号 |
20K20869
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
中田 光紀 国際医療福祉大学, 医学研究科, 教授 (80333384)
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研究分担者 |
井上 由貴子 産業医科大学, IRセンター, 助教 (00862525)
永田 智久 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (40525466)
藤木 通弘 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (80334928)
山川 誠司 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 助教 (80787482)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 社会的ジェットラグ / 睡眠負債 / 睡眠教育 / 生物心理学的基盤 / 労働者 |
研究実績の概要 |
近年、労働者の睡眠問題、特に睡眠負債(日々の睡眠不足の蓄積)や社会的ジェットラグ(平日と休日の睡眠時間帯のずれによる時差ぼけ)が大きな社会問題となっている。これらは長時間労働や過重労働が主な原因と考えられ、職場うつや過労死・過労自殺発生の背景となっている。この現状を解決するために、本研究は働く人々の社会的ジェットラグの健康影響を前向き研究から明らかにし、そこから得たエビデンスをもとに予防法を考案し、有効性を評価する。最終的に社会的ジェットラグを解消するための睡眠教育プログラムを開発することを目指すものである。 本研究においては日勤労働者を対象に、健康診断時に睡眠に関する詳細な調査を実施し、併せて健康診断データとリンクさせ、さらに残血清を用いて炎症マーカー(CRPやサイトカイン)を測定する計画である。多様な炎症マーカーの測定と同時に一般健康診断項目も測定し、睡眠の影響による健康状態を総合的に調査する。仕事のストレス、睡眠以外の生活習慣(喫煙、食生活、運動、飲酒等)も詳細に調査を行う。なお、コロナ禍により当初5月に予定していた健康診断を8月末に実施し、1年目のデータは無事取り終えた。 もう一つの大規模職域疫学研究は、これまで収集した既存データの解析を進めることである。約7万人の日勤労働者のデータを解析し、社会的ジェットラグとクロノタイプのメンタルヘルス、食行動、疲労、欠勤や病欠、腰痛・肩こりなど筋骨格系障害に対する独立した影響を検討しており、論文完成に向けて準備は十分進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
某食品製造業企業において、日勤の労働者約400名を対象に睡眠調査データ、健康診断データと炎症マーカー(CRPやサイトカイン)は2020年8月に無事データの測定を終えた。現在、解析に向けてデータクリーニングを行っている。もう一つの大規模職域疫学研究であるが、約7万人の日勤労働者のデータを解析し、社会的ジェットラグとクロノタイプのメンタルヘルス、食行動、疲労、欠勤や病欠、腰痛・肩こりなど筋骨格系障害、に対する独立した影響を検討した。これらの研究は世界睡眠学会、米国心理学会、国際行動医学会、日本産業衛生学会、日本心理学会、日本行動医学会などで発表済である。今後は、国際学術雑誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、職域における調査はコロナ禍の影響もあり、企業調査自体が実施しにくい状況ではあるが、協力企業とも調整を繰り返しながら継続実施を検討している。同時に、労働者3000名程度に対して睡眠、特に社会的ジェットラグに関するインターネット調査も検討中である。実地調査とインターネット調査を組み合わせた結果から、エビデンスに基づいた睡眠教育プログラムの開発を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初、予定していたサイトカイン等の検査費用の支出が来年度に持ち越しになり、また、コロナ禍の影響により研究の一部をインターネット調査に切り替えることになった。その影響によるものである。
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