研究課題/領域番号 |
20K20871
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
緑川 晶 中央大学, 文学部, 教授 (90421833)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 高齢期の発達障害 / 認知症 / アスペルガー症候群 / 自閉症スペクトラム / 前頭側頭型認知症 / ADHD |
研究実績の概要 |
本研究では、高齢期の発達障害に該当する人々を一般コミュニティーにおいて同定し、その頻度を明らかにするとともに、介護状況および認知症との類似性について検証し、究極的には介護の現場で得られた対応方法についての知見を広く還元することを目的としている。 2020年度はコロナ禍による急激な環境変化により、新規のデータ収集が困難であったことから、過去に取得していたデータ解析を中心に行った。データは、大学近隣にある地域包括支援センターの専門職員と居宅介護事業所の介護支援専門員を対象に、認知症や高次脳機能障害、発達障害の熟知度や支援経験とともに、高齢期の発達障害についての認識を質問紙によって調査したものである。分析の結果、事前知識については、地域包括支援センターの職員と居宅介護事業所の職員のあいだでは、高次脳機能障害のみ差が認められ、居宅介護事業所職員の熟知度がより高いものであった。支援経験については、高次脳機能障害のみ居宅介護事業所職員の方が多く、発達障害については地域包括支援センター職員の方が多く経験を有していることが明らかとなった。一方で、認知症についてはいずれの機関においても、熟知度や支援経験の差が認められなかった。また、発達障害の特性を有する高齢者については、機関ごとの差は認められず、認知症と見なす傾向が高く(80%以上)、発達障害として見立てる傾向は高くない(凡そ45%)ことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍による急激な環境変化により、地域の包括支援センターや居宅介護事業所の負担が増しており、新規の面接調査の実施を差し控えざるを得なかったために進捗が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画では、面接調査による研究協力者へヒアリングを行った上で、質問紙調査表の作成を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的に、研究協力者への直接の接触を控え、各事業所に郵送による調査協力を行うこととする。質問紙表は海外で作成された質問票を参考に作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による環境変化により、面接調査による研究協力者への接触が困難であり、また研究体制の構築が順延せざるを得なかった。研究体制の構築を2021年度に行い、面接調査から郵送調査へ移行する。
|