研究課題/領域番号 |
20K20874
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
野波 寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50273206)
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研究分担者 |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 教授 (20441959)
坂本 剛 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (30387906)
青木 俊明 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60302072)
大友 章司 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (80455815)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | NIMBY問題 / 道徳ジレンマ / 当事者の優位的正当化 / 神経生理学的基盤 / fMRI |
研究実績の概要 |
標記の課題について2020年度は、脳撮像データ取得を目的とする実験課題の作成、およびそれを用いたパイロット実験を実施した。 まず脳撮像データ取得を目的とする実験の課題作成に関しては、実験参加者が脳撮像機器(磁気共鳴機能画像、fMRI)内で視聴できる画像課題を作成する必要があった。このため、PC上で連続的に課題を呈示するプログラムを、心理実験用プログラム言語(Psychopy)を用いて作成した。これは、PowerPointの画像換算でスライド350枚分以上の情報呈示から成り、道徳ジレンマとしての迷惑施設問題(NIMBY問題)を、文章と画像によって連続的に呈示するものである。 この実験課題を動作確認後、実際にfMRI内で課題を呈示して脳撮像データを取得するパイロット実験を行った。実験は、東北大学加齢医学研究所内における機器を用い、ボランティアによる実験参加者5名を募った。実験参加者らはfMRI内で上記課題を視聴し、迷惑施設の是非をめぐって当事者の権利を優先すべきか(当事者の優位的正当化)多数者の公益を優先すべきかの判断を行った。実験の目的であるデータは、この判断を行う際の人間の脳活動に関する機能的変化である。データそのものの取得には成功し、ここまでに作成した実験課題が当該研究の実施上で有効であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はCOVID-19の蔓延によって予算の決定と配分が遅延し、当該課題についても研究代表者と分担者らが正式に研究活動を開始できる時期が下半期になってからであった。しかし、リモート会議などで情報交換を繰り返し、年度内の目標であった「実験課題の作成」、「パイロット実験の実施」、「予備データの収集」までは達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度内に収集した予備データ(5名分の脳撮像データ)を2021年度上半期に分析する。データの動向から、実験課題や実験手続き上での今後の改訂個所の有無を判断し、7月より本実験(25名分のデータ取得予定)を実施する予定である。下半期には、本実験のデータ分析結果を国内の学会で発表する。COVID-19の蔓延状況しだいの面はあるが、可能であれば海外の学会(研究代表者および分担者らへのワクチン接種がなされない限り、海外の学会はリモート参加を原則とする)で発表することも考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、大きく以下の2点による。第1点は、当該年度(2020年度)に予定していた実験実施作業のひとつである「実験課題作成」にあたっての作業委託費が、当初の想定よりも安価に抑えることができ、経費を削減できたことである。第2点は、年度内に予定していたパイロット実験の参加者を当初の人数よりも絞りこみ、これによって実験参加者への謝金総額および機器利用料(東北大学加齢医学研究所所有のfMRI)が抑制されたことである。なお次年度使用額に関しては、2021年度請求の助成金と合わせ、主として本実験(25名分の脳撮像データ収集を予定)における謝金総額および機器利用料に充当する。
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