研究実績の概要 |
この研究は一般化された複素幾何, ケーラー幾何の以下三つの最も挑戦的な問題に焦点を絞って研究を進展させることを目的とするものである. (1)[一般化されたケーラー幾何学におけるカラビ・ヤオ型問題]通常のケーラー幾何学におけるカラビ・ヤオ予想の拡張として, 一般化されたケーラー幾何学におけるカラビ・ヤオ予想が提唱されている.これらの予想をもっと一般的な枠組みにて定式化し, その解決を目指す. (2)[実4次元多様体上の一般化された複素構造の存在問題] 概複素構造を持つコンパクト実4次元多様体上には一般化された複素構造が存在するか? という存在問題の解決を目指す. (3)[ 一般化された複素多様体と非可換代数幾何との対応の解明] 一般化された複素多様体と非可換代数幾何との間には不思議な対応が存在することが示唆されている.この二つの幾何学の対応を明解にし, 更に両方の幾何構造のモジュライ空間の構成を目指す.
今年度は (1) に進展がみられた. 一般化されたケーラー幾何学においてスカラー曲率を適切に定義することはカラビ・ヤオ予想を定式化する上で大切であるが, 3-form で twist された一般化されたケーラー多様体 (M, J_1, J_2) の一般化されたスカラー曲率 S(J_1, J_2) の定式化に成功した. この一般化されたスカラー曲率は通常のケーラー多様体の場合には, 通常のスカラー曲率に一致しており, 更に, シンプレクティック型の一般化されたケーラー多様体の場合には, モーメント写像となっている. また微分同相群の作用の元で同変であり, またd-閉なb-場の作用で不変である. また, J_1 ,J_2 との交換に関しても S (J_1, J_2)=S (J_2, J_1)となり, 不変になっている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため, 研究上必要な国内外出張が出来なくなり, また研究遂行のため, 海外から招聘を予定していた研究者も入国出来なくなったため, 次年度使用額が生じた. 使用計画として, 新型コロナウイルスが治った場合, 研究上の国内外出張, および海外からの研究者の招へいなど, また研究上必要な書籍, 資料の購入に使用する予定である.
|