研究実績の概要 |
本研究は, 研究協力者の丹田聡(北大), 中津川啓治(北大)と共に「時間作用素」の存在の実験的検証と理論的研究を行うものであった. 以下で研究実績を報告する. コロナ禍で2度延期になった研究会「時間・量子測定・準古典近似の理論と実験-古典論と量子論の境界」を2022/7/21-23に九大IMI共同利用開催することができた。物理・数学, 実験・理論の研究者が一同に介した研究会で非常に刺激的であった. 実験系からは, ドレスト光子や「新井・宮本の不等式」のシミュレーション実験, トポロジカル工学, 小澤の不等式の実験による精密化, 光格子時計やB中間子検出の最先端の話題が紹介された. 理論系では, 時間作用素の分類, 時間結晶への提言, 量子ウォークに付随した時間作用素, そして観測理論などが議論された.中津川は時間作用素に現れる「新井・宮本の不等式」をシミュレーションで確かめ、現在論文執筆中である. また, 調和振動子に付随した時間作用素は物理の世界では形式的にいくつか知られているが, シフト作用素と個数作用素を使ってこれを厳密にクラス分けした. さらに, その連続極限がアハロノフ・ボーム作用素というラプラシアンに付随した時間作用素になることを示した. その結果を寺西功哲(北大)と共著で Time Operators of Harmonic Oscillators and Their Representations I(arXiv:2201.06352v4) Time Operators of Harmonic Oscillators and Their Representations II(in preparation) としてまとめた。2022年4月にデンマークの国際研究会及び9月にサマルカンド大学で研究成果の発表を招待講演で行なった.
|