研究課題
ホール効果測定は材料の重要な電子物性であるキャリア密度と移動度を決定できる基本的かつ重要な手法である。移動度が小さくキャリア密度が大きい材料では、小さなホールホール係数となるため、ホール電圧の測定には強磁場の印加が必要になる。しかし強磁場生成には超伝導電磁石が必要となり、それ自身が高価かつ貴重な液体ヘリウムの冷媒も必要となる。そのため、安価で高感度なホール効果測定法の開発が期待されている。本研究では、交流磁場と交流電流を用いた二交流ホール効果測定法を提案し、装置開発を行った。交流磁場をネオジウム永久磁石とステッピングモータの回転により生成することで、安定した数十Hzの高周波数を実現した。また生成した二交流ホール電圧はロックインアンプにより測定し、高感度の計測を実現した。さらに市販のGaAsホール素子を用いて開発した装置の定量的な評価を行った。その結果、二交流法の理論通りに印加電流と印加磁場の周波数の和と差に相当する周波数を持つホール電圧シグナルが検出できることを明らかにした。磁場の最大振幅は~0.5 Trms, 最大周波数は100 Hz, ホール電圧の測定感度は~10 Hzにおいて~100 nVrmsであった。開発した装置の評価を行ったのち、実際に酸化物薄膜試料において二交流ホール効果測定を行った。典型的な酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)を、ディップ法を用いて多結晶薄膜を形成した。その後、フォトリソグラフィーによるホールバーと、van der Pauw試料による二交流ホール効果測定を行った。その結果、従来の直流法と今回の二交流法で同等のホール電圧が観測され、実際の薄膜試料においても二交流ホール効果測定が可能であることを例証した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (4件) 産業財産権 (1件)
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