研究課題
電流誘起の新奇なフェルミオロジーの展開が本研究の目的である。反対称スピン軌道相互作用による特徴的なフェルミ面の性質をドハース・ファンアルフェン効果から微視的に明らかにすることが重要なポイントである。そのために、空間反転対称性の敗れた結晶構造に着目して、さまざまな物質探索を行った。このうちハーフホイスラー型の結晶構造を持つUPt5については、チョクラルスキー法により純良単結晶育成に成功し、ドハース・ファンアルフェン効果の観測に成功した。大きくスピン分裂した球状のホールフェルミ面を観測した。バンド計算との比較でも良い一致を示し、UPt5のフェルミ面の全体像を明らかにした。振動数の角度依存性は、2つに分裂した振動数以外に、その間にたくさんの振動数が検出された。これは、対称性を反映した2つの軌道の縮退点と偶然縮退した点が複雑に絡み合った軌道交差現象であることを明らかにした。サイクロトロン有効質量は29m0までのものが観測されており、重い電子状態を反映している。 さらに、新奇スピン三重項超伝導体UTe2のホール効果、熱電能測定を国際共同研究に基づいて行った。磁場を困難軸方向のb軸に加えたときに、メタ磁性転移で劇的に電子状態が変化することを明らかにした。さらにUTe2の単結晶育成において、NaCl/KClによるフラックス法により超高純度単結晶育成に成功した。残留抵抗比RRRは200から800であり、UPt3にも匹敵する純良単結晶である。この超高純度単結晶を用いて、UTe2の量子振動効果(ドハース・ファンアルフェン効果)の観測に世界で初めて成功した。準二次元的な2種類のフェルミ面が、実験と理論計算によって明らかにされた。電子の有効質量は、32-58m0と重い電子状態を形成していることを明らかにした。またU4+とU3+の混合価数状態になっていることがわかった。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 8件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 10件、 招待講演 8件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 92 ページ: 043703
10.7566/jpsj.92.043703
巻: 92 ページ: 044702
10.7566/jpsj.92.044702
Physical Review B
巻: 107 ページ: 085142
10.1103/physrevb.107.085142
Physical Review X
巻: 13 ページ: 011022
10.1103/physrevx.13.011022
巻: 92 ページ: 024702
10.7566/jpsj.92.024702
巻: 107 ページ: L060502
10.1103/physrevb.107.l060502
巻: 106 ページ: 214525
10.1103/physrevb.106.214525
巻: 91 ページ: 114708
10.7566/jpsj.91.114708
Journal of Magnetism and Magnetic Materials
巻: 562 ページ: 169820~169820
10.1016/j.jmmm.2022.169820
Physical Review Materials
巻: 6 ページ: 104412
10.1103/physrevmaterials.6.104412
巻: 91 ページ: 083704
10.7566/JPSJ.91.083704
巻: 106 ページ: 035152
10.1103/PhysRevB.106.035152
巻: 91 ページ: 063703
10.7566/jpsj.91.063703
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 34 ページ: 243002~243002
10.1088/1361-648x/ac5863
巻: 91 ページ: 065001
10.7566/JPSJ.91.065001
巻: 91 ページ: 065002
10.7566/JPSJ.91.065002
巻: 91 ページ: 064712
10.7566/JPSJ.91.064712
巻: 91 ページ: 043704
10.7566/jpsj.91.043704
巻: 91 ページ: 043705
10.7566/jpsj.91.043705
巻: 105 ページ: L140502
10.1103/PhysRevB.105.L140502