固体物理学においてベリー位相は種々のホール効果の起因として議論されている。しかし、これまで固体中のベリー位相の直接観測した研究は存在しない。ベリー位相分布を実空間で可視化することにより,固体中の量子現象において普遍的位相であるベリー位相のマクロな物性評価では分からない隠れた特性を明示することは、固体物理学のみならず工学的応用の発展においても重要である。残念ながら、本研究では、直接観察の成功には至らなかったが、本研究の実施により、使用する電子線のエネルギーをベリー位相が存在する運動量空間のエネルギーに調整することで、観測可能であるという結論が得られた。これは今後の装置開発の指針となる結果である。
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