研究課題
2次相転移現象が有限温度で生じる場合には、熱ゆらぎが重要な役割を果たす。一方、2次相転移温度が圧力や磁場などの外部制御パラメータによって絶対零度まで抑制された「量子臨界点」近傍では、熱ゆらぎよりも量子ゆらぎが支配的になる。この量子ゆらぎが発達した領域では、銅酸化物高温超伝導体や鉄系高温超伝導体が発見されているため、基礎物理学のみならず、応用・実用面からも盛んに研究が行われてきた。しかしながら、「高温超伝導体の発現機構の解明」や「高温超伝導体を用いた超伝導デバイスの創成と応用・実用化」は現在でも限定的であり、この停滞期を抜け出すためには、従来とは一線を画す新しい手法を開発し、研究を推し進める必要がある。本研究では、上記の目標を達するために、高温超伝導体-有機絶縁体-通常金属を用いたトンネル接合に着目した。具体的に作製しようとするトンネル接合は、高温超伝導体(無機物質)と有機絶縁体を組み合わせたハイブリッド型のトンネル接合である。予定では、このトンネル接合を用いて高温超伝導の発現機構の解明、および量子コンピュータなどに適用可能な量子ビット素子の開発に取り組むのが目標であった。しかしながら、本年度も新型コロナウィルスの影響で共同研究先(NIMSと物性研)へ出張することができず、本研究は未完了な状態である。昨年度で研究期間を超えてしまったが、現在では新型コロナウィルスの影響が収まりつつあり、今後も引き続きハイブリッド型トンネル接合の研究を続けていく予定である。
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Journal of the Physical Society of Japan
巻: 90 ページ: 113708
10.7566/JPSJ.90.113708