研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、集束イオンビーム(FIB)を用いたマイクロコイルを使った核磁気共鳴(NMR)法によるトポロジカル物性の観測を目指し、Nb厚膜を用いた超伝導らせんコイルの作成やトポロジカル絶縁体BiSbTeSe2単結晶の育成とX線回折像取得手法の確立、トポロジカル超伝導体UTe2単結晶の育成と超伝導特性の評価を行った。特に、BiSbTeSe2の試料評価においては、FIBによる試料切り出しが有効であること、またUTe2単結晶の純良性が改善され、量子振動実験や多重超伝導相の詳細な研究が可能となった。
固体物理
本研究の学術的意義は、集束イオンビームを用いたマイクロコイルを使った核磁気共鳴法によるトポロジカル物性の観測技術の開発にある。これにより、トポロジカル材料の表面状態が観測できるようになり、新たなトポロジカル物質の発見や物性解明につながることが期待される。また、社会的意義としては、トポロジカル物質の応用に向けた基礎研究の進展や、微小コイルを用いたNMRは、生体や化学分野などでも汎用的技術であり、測定負荷減少や測定時間短縮につながり、省エネルギーに寄与すると期待できる。