研究課題
本研究は、現在の地球の地熱を正確に見積り、地熱によって地下から地表に戻ってくる水の量を正確に見積もることで、地球上の海洋の水量変化の予測、その手法の確立を目的としている。この目的のためには、地球ニュートリノの精密観測からマントルに含まれている熱源である放射性元素の割合を特定し、火山の水蒸気測定を正確に行う手法の開発が必要になる。地球ニュートリノの測定は、最大のノイズ事象である原子炉ニュートリノの見積りの正確さが実現のカギとなる。そのため、以下の解析の改善を行なった。1) 昨年度IAEAがまとめた原子炉運転データから日本および韓国以外の原子炉によるニュートリノ生成量を見積もったが、このデータを解析に反映させた。2) 韓国の新規稼働原子炉のデータを解析に反映させた。以上のもとに解析したところ、ウランに由来する熱生成量とトリウムに由来する熱生成量を分離測定することに成功した。また、一部の地球モデルに制限を与え、マントル複数層対流への示唆が得られた。これらの結果をまとめて論文を公表した。今後の解析手法の改善を目指し、各原子炉からカムランドへの距離およびニュートリノ生成量を反映させた有効ニュートリノ飛来距離を計算した。有効距離が大きい場合はニュートリノ振動の影響が平均化するため、このデータを元に使用するデータの期間を選択するなど解析手法を改善する計画を立てている。火山の水蒸気測定では、NICTおよび京都大学で進めている指向性を持つマイクロ波放射計を使用し、東北大学・気象研究所と協力することになったものの、依然Covid-19の影響によって検出器開発を担当している研究所への立ち入り制限のため、テストはできていない。そのためテスト実施のために必要な装置の準備を進め、今後予定されているテストの準備を進めた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Geophysical Research Letters
巻: 49 ページ: e2022GL099566-1
10.1029/2022GL099566