研究課題/領域番号 |
20K20918
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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研究分担者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (30634414)
早川 尚志 名古屋大学, 高等研究院(宇宙), 特任助教 (10879787)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 放射性炭素 / 太陽活動 / シュワーベサイクル / 年輪 / 氷床コア |
研究実績の概要 |
年輪の14Cや氷床コアの10Beなどの宇宙線生成核種は過去の長期的な太陽磁場活動の優れた代替データである。一方、太陽活動を議論する上で重要となる太陽11年周期(シュワーベサイクル)は、核種データに現れる振幅が小さいため、宇宙線生成核種を用いた検出手法が未だ確立していない。本研究では、1年未満の時間分解能の年輪14Cデータと、複数地点の氷床コア10Beデータを分析することで、シュワーベサイクル検出法の確立を目指す。本研究が実現することにより、黒点データの妥当性の検証や過去数万年間のシュワーベサイクルの調査を可能とする。 2020年度は、1年未満の時間分解能で樹木年輪の14C濃度測定を実施するため、2つの年層内剥離方法を試みた。1つ目の手法は、ミクロトームを用いて年層内を等分に剥離し、その後通常の化学処理でセルロースを抽出する方法であり、他方は板状の木片からセルロースを抽出し(板毎セルロース抽出法)、その後顕微鏡下で1年輪を複数等分にする方法である。試料の形状や試料調整者の技術によって、分割可能な数は異なるが、今回実施した3等分程度であれば容易に分離可能であり、年輪幅が大きければさらに多く分割可能であることを確認した。2つの手法を用いて分離した試料の14C濃度測定を実施したが、どちらの手法でも得られる14C濃度に違いは見られず先行研究とも再現性のある結果が得られた。年輪の形状によって上記2つの手法でそれぞれ長所、短所があるため、今後は分析に用いる試料に適した手法を用いる予定である。 また、10Be分析に用いる予定の南極氷床コアについて、年代の推定方法について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、本研究を進める上での基盤となる年輪年層内剥離方法を確立し、分析に必要なサンプルの準備を進めることができたため、おおむね計画通りに進展しているが、試料の選定にあたって追加調査する必要が生じたため、本来予定していた14C分析の実現までは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の分析から、樹種によって樹木の炭素固定に違いが生じる可能性が判明したため、まずは同一年代(1950年以降)に同じ地域で生息していた樹木を用いて年層内14C変動に違いがみられないか確認し、リアルタイムの炭素をより固定している分析に適した試料を選定する。そして、2020年度に検討を行ったサンプルの分析手法を適用し、1825-1850年を超高精度な年輪14Cと氷床コア10Be分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた超高精度14C濃度測定を実施する以前に、使用する試料の選定のための追加調査が必要となったため。次年度以降、追加調査を行い、本来予定いしてた14C濃度分析を行う予定である。
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