研究課題
本研究は昼と夜に貝殻を開閉し太陽日輪を刻むシャコガイ殻化石を用いて、過去1000万年間の地球の自転速度を復元することを目的とする。1)シャコガイ殻の太陽暦(日・年)キャリブレーション、2)化石シャコガイ試料の採取と年代測定、3)現生および化石の成長線解析と炭酸凝集同位体分析を行い、シャコガイ殻に記録される公転周期の中に、日輪が何本刻まれているかを計測し、過去の自転速度を復元する。本研究は世界初の地球自転計を目指すものであり、その成果は化学分析の必要ない新しい年代決定法の開発や古代天文暦の謎を解明するなど多分野への強い波及効果が期待される。地球の自転速度は地質時代を通じて海水やマントルと地殻の密度の差による摩擦力により減速しているとされているが、有史以前は自転速度を見積もることのできる観察記録が存在しない。また、過去の自転速度を直接的に復元する方法はなかった。現在の地球の条件では自転周期と原子時計にズレが生じ、約500日に1秒の閏秒が挿入される。自転速度の変化は、”海洋にかかる遠心力を変化させ地球の海水準を変動させる”、”地殻の扁平率を減少させ地球表面の日射量を増大させる”、”プレート運動の歪みを増大させ地震を発生させる”など、地球の気候変動や地殻変動への影響が示唆されているが、地球史を通じた過去の自転速度の直接データは存在せず地球環境変動との相互関係はこれまで議論されていない。本研究では、飼育実験のためのシャコガイの採取ならびに、完新世および更新世のシャコガイ化石試料を追加で採取を行い年代測定を行なった。また、シャコガイの炭素凝集同位体比測定のために、現生及び完新世のシャコガイ化石試料の酸素同位体比測定を行い、酸素同位体比水温計の開発を行なった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (26件) (うち招待講演 4件)
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
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10.1029/2022GC010849
Coral Reefs
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