研究課題/領域番号 |
20K20934
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤谷 渉 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (20755615)
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研究分担者 |
橋爪 光 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (90252577)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | イオン注入 / 二次イオン質量分析 / カンラン石 / セシウム |
研究実績の概要 |
2022年度は、イオン注入による試料の前処理(不純物のドープ)を行うことで、二次イオン質量分析(SIMS)における二次イオンの感度を向上させる試みを行った。具体的には、化学組成が定量されているサンカルロス産オリビンの研磨薄片にセシウムイオンを注入し、オリビンに含まれる微量元素:リチウム・カルシウム・マンガン・クロムなどをSIMSで分析することを計画した。セシウムイオンは金属単体としてはもっとも仕事関数が小さい元素である。注入したセシウムイオンの存在量は、試料中で深さ方向に山なりの分布となる。セシウムイオンの加速電圧と注入量は、SRIMという計算コードを用いたシミュレーションにより、以下の条件を満足するように決定した。すなわち、セシウムイオンのピーク濃度が20 wt%程度、かつ、ピークの表面からの深さが100 nm程度である。イオン注入を行うカンラン石の試料は、2-3 mm程度の大きさのものを選び、樹脂に包埋してからダイヤモンドペーストで0.25マイクロメートルの平滑度まで研磨した。その後、イオン注入時あるいはSIMS分析時の試料表面での帯電を防ぐため、厚さ5 nmのオスミウムコーティングを行った。実際のイオン注入実験は群馬県高崎市・量子応用研究所のイオン注入装置TIARAにて行った。二日間のマシンタイムで、セシウムイオンビームの加速電圧350 kV、電流量500 nA、照射範囲1.5 x 1.5 cm^2、計5時間の照射を行い、ドーズ量はおおよそ2 x 10^16 atoms/cm^2である。残念ながら、マシンタイムの都合により、SIMS分析はまだ行われておらず、二次イオンの感度の評価は行われていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先述の通り、マシンタイムの都合により、イオン注入した試料の二次イオン質量分析を行うことができなかったため。しかしながら、これは、コロナ禍によって2年前からイオン注入およびSIMSのマシンタイムの確保が難しくなった影響を引きずっているとも言え、特に当該年度において研究が進捗しなかったということを必ずしも意味しない。
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今後の研究の推進方策 |
今後に残された研究計画は、セシウムイオン注入を行った試料のSIMS分析のみである。SIMS分析において、セシウムをはじめ、リチウム・カルシウム・マンガン・クロムなどの二次イオンを検出し、二次イオン強度の深さ方向プロファイルを得る。注入したセシウムは表面から深さ100 nm程度で二次イオン強度が最大になるような山なりのプロファイルになるはずである。他のイオンもそれと相関して二次イオン強度が変化するか否か、するとしたらどの程度強度が変化するか、が本研究課題で追及すべき問題の一つである。2023年度の前半にSIMS分析を終え、データ解析ののち、2022年度までに得られていた結果と合わせて、直ちに研究発表へと移行していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に二次イオン質量分析計による実験を行い、また、データをまとめて研究発表を行うための旅費および論文の出版料が必要である。5月にSIMS実験を行うほか、6月にスイス・ベルンで開催されるワークショップ、8月にロサンゼルス・アメリカ合衆国で開催される国際隕石学会に出席する予定である。
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