研究課題/領域番号 |
20K20979
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村田 智 東北大学, 工学研究科, 教授 (10334533)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | セルフアセンブリ / かたち / やわらかさ / メゾスケール / 分子モジュール |
研究実績の概要 |
本研究では,かたち・結合性・やわらかさを自在に設定することができるモジュールを開発し,様々な条件下でアセンブリ実験を行うことによりセルフアセンブリの普遍的設計原理を探ることを目的としている. 初年度は,DNAオリガミの手法を用いて7関節の柔軟閉リンク構造を設計し,核酸濃度,塩濃度,アニーリングの温度プロファイル等のセルフアセンブリ条件を最適化することにより,電気泳動およびAFMによる構造形成の確認を行った.7関節としたのは,周期的な格子形成をしない基本形状とすることにより,アモルファス状の構造形成などを狙ったためである.予備実験の結果,高い収率でモジュール単体(モノマー)が形成されていることが確認できた.あわせて,透過型電子顕微鏡TEMでの構造観察も試みたが,こちらはあまりうまくいかなかった. 次に,モジュール同士の結合機能,および特定の関節をまっすぐに伸ばした状態で固定する機能についてもそれぞれ電気泳動およびAFMを用いて実験的に検証した.具体的には結合能を有する辺や,直線状にする間接を指定してモジュールを形成する実験をおこない,多数のAFM観察画像から形成率および形状の一致率を評価した. また,これらの機能を組み合わせて,少数個のモジュールからなる構造体をアセンブルする実験を行い,多様な形状の構造体が形成できることを確認した.以上の成果をとりまとめた論文を投稿し,MicroMachines誌に採録されたほか,FNANO国際会議やDNA Computing and Molecular Programming 国際会議において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モジュールの設計とその基本機能の検証ができ,最初の論文が採録されているため.
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今後の研究の推進方策 |
モジュール数を増やし,より大規模な集合体の作製をめざす.これまでの研究でモジュールの剛性不足や結合機能のプログラム性不足などが明らかになっているため,モジュールの設計や実験条件に改良を加えていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年2月14日宮城県沖で発生した地震により,実験室が被害を受け,その復旧に忙殺され予定していた分子モジュールの製作およびそれを用いた実験ができなくなったため.
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