本研究では、微小昆虫であるショウジョウバエを計測対象として、特化したフォースプレートの設計・試作・計測システムを構築する目的とする。計測システムでは、プレートの垂直方向の変位を下部に配置したサブミクロンの分解能を持つレーザー変位計で検知し、事前に測定したフォースプレート全体のばね定数からフックの法則から足裏反力を測定する。 令和4年度においては、前年度に発案した平面スパイラル構造のフォースプレートに関して研究を進めた。プレートは完全に平面構造であり、直径6 mmの円形のプレートに対し、四つのスパイラル状のばね構造が干渉せずに接続する。フォースプレートの材料として、金属材料、ポリイミドフィルム、ガラスウェハの3つでそれぞれ試作し、機械的特性および力の分解能を評価した。中でもガラスウェハのフォースプレートはUVレーザー加工機で簡単に製作可能であり、研究では直径10mmオーダで厚さ25μmのフォースプレートを実現し、力分解能が0.01μNのオーダとなった。試作したフォースプレートを用いてショウジョウバエの足裏反力を計測できることを確認した。 さらにラージサイズでレーザー変位計と同様にフォースプレート構造と離して変位を計測する渦電流計を用いて、四軸のフォースプレートを設計・試作した。この時、プレートを支えるばね構造の位置とバネ定数の分布を最適化することで、同じ感度と共振周波数であっても位置誤差を最小化できることを理論と実験から示した。
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