研究課題/領域番号 |
20K20992
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福島 誉史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10374969)
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研究分担者 |
マリアッパン ムルゲサン 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 学術研究員 (10509699)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 誘導自己組織化 / TSV / ブロック高分子 / ナノワイヤ |
研究実績の概要 |
次世代リソグラフィとして注目されているブロック高分子の誘導自己組織化(DSA)の概念を革新し、DSAで形成した極微細構造を「染色」によりナノ配線に変える新概念を提案した。ここで用いる「染色」とは、電子線透過性の高い高分子成分に電子線散乱性の高い金属を固定することを意味している。本研究では、DSAで誘導されたナノ規則構造を構成する一方の高分子ブロック成分に、特定の金属酸化物や有機金属を選択的に物理吸着、化学吸着させる「染色」を応用した配線形成原理の実証するための実験を遂行した。染色剤として四酸化ルテニウムに暴露させ、液相拡散により特定の高分子成分に対して選択的に浸透する現象を利用した。トランジスタ間を結ぶ横方向配線に加えてAI社会で期待される三次元積層型集積回路(3D-LSI)の縦方向配線であるSi貫通ビア(TSV)の超微細化に挑戦した。ポリスチレンとポリメチルメタクリレート(分子量比1:1)から構成されるブロック高分子を直径3μm、深さ10μmのSi深穴に充填させ、誘導自己組織化を誘発させた後、四酸化ルテニウム水溶液に浸漬させ、SEMにより断面を観察した。その結果、酸素アッシングなどのプラズマエッチ処理を用いずとも鮮明にラメラ型のナノ周期構造が観察された。ラメラピッチは20-40nmであった。また、ナノプローバシステムを用いてポリスチレン部分の電流-電圧特性を測定したところ、周囲に比べて低い抵抗を得ることができた。ポリスチレン部分が四酸化ルテニウムに染色されこのような電気的特性の違いが得られたと考察している。詳細な分析は次年度以降に検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案した仮説を示唆するデータが得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
湿式法は制御が難しいため、乾式法に切り替えて、メカニズムの詳細解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加を予定していたが、オンライン開催となったため。次年度の論文投稿料に使用する予定。
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