水相中のたんぱく質とDNAの間に働く特異的相互作用を利用したバイオセンサについては数多くの報告例がある一方で、気体分子とDNAの間の相互作用に基づいたガスセンサについては、報告例が少ない。本研究では、DNAをSPRセンサに固定化し、気相中でガス分子を吸着する作用を見出し、ppm~ppbレベルのガスを検出できた、という点で学術的意義をもつ。また、ヒトが匂いを認識できる嗅覚閾値は1ppbから0.1ppbとされる。本研究では少なくとも7ppbのサリチル酸メチルを検出でき、嗅覚閾値まであと1桁というところまで到達し、嗅覚閾値を認識可能なセンサを視野に入れることができた、という点で社会的意義がある。
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