研究課題/領域番号 |
20K21004
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
喜多 隆 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10221186)
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研究分担者 |
原田 幸弘 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10554355)
朝日 重雄 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60782729)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 量子ドット / バンド内遷移 / 赤外線センサー |
研究実績の概要 |
本研究では、この半導体ヘテロ界面に量子ドットを挿入した量子ナノ構造において発現する強いバンド内光学遷移分極の学理を追求し、赤外域においてこれまでにない高い光検出能を実現するとともに、バンド内光学遷移分極制御によって遷移強度を極限まで高めて室温動作超高感度量子型赤外線センサーに応用することを目的に研究を実施している。本年度は下記の研究を実施した。 (1)量子ナノ構造の作製と基礎光学特性評価・制御:実績がある分子線エピタキシー技術を利用して、GaAs(001)基板上にAlGaAs/GaAsヘテロ界面にInAs量子ドットを挿入した量子ナノ構造を内包するダイオード構造を作製する。また、現有のフォトルミネッセンス分光システムとフォトルミネッセンス励起スペクトル測定システムによりバンド内に形成された量子準位を明らかにするとともに、光電流スペクトル特性との整合性も確認した。 (2)バンド内光学遷移増強効果メカニズムの解明:量子ドットの面内サイズ異方性制御や量子ドットのサイズやアスペクト比制御によって、プラズモン共鳴特性を制御できるかどうかをシミュレーションによって明らかにした。特に、量子ドットのアスペクト比は応答特性に敏感で、局在表面プラズモン形成による中赤外域における制御を明らかにすることができた。 (3)光吸収係数の定量評価とバンド内遷移光電流の最大化:n-i-nデバイス構造を作製し、光電流特性を詳細に調べた。デバイスシミュレーションによってヘテロ界面電子濃度依存性を明らかにしてデバイスを作製するとともに、電流電圧基礎特性を評価して低い暗電流特性を実現する条件を検討するとともに、赤外光による応答性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤外光による光電流を高感度に検出するためロックインアンプによる計測システムを構築したため、計測時間を大幅に短縮でき効率よく実験を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は以下のように推進する。 (1)量子ナノ構造の作製と基礎光学特性評価・制御:引き続きGaAs(001)基板上にAlGaAs/GaAsヘテロ界面にInAs量子ドットを挿入した量子ナノ構造を作製し、バンド内電子状態を詳細に明らかにする。 (2)バンド内光学遷移増強効果メカニズムの解明:プラズモン共鳴特性を制御の成果に基づいて、量子ドットに局在するプラズモン状態の結合による新しい共鳴特性制御を計算によって明らかにし、量子ナノ構造を最適化する。 (3)光吸収係数の定量評価とバンド内遷移光電流の最大化:n-i-nデバイス構造を作製し、バイアス電圧印加状態での光電流特性を詳細に調べる。 (4)赤外線センサーの試作と基礎特性評価:これらの成果をもとに赤外線センサデバイス構造の設計とシミュレーションによる最適化を行い、作製したデバイスについて赤外光検出基礎特性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言で当初予定していた研究期間が事実上圧縮されてしまったため計画物品購入計画がずれ込み次年度繰越をした。
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