本研究課題では、実用的な分子スピントロニクスデバイスの実現に向けて、申請者が観測してきた有機ラジカル単分子接合における巨大磁気抵抗効果と分子を壊すことなく絶縁膜に内包したトンネルトランジスタを融合した新規縦型スピントランジスタを創生することを目的とした。有機ラジカル分子を2重トンネル接合に内包したトンネル接合素子を作製し、分子軌道を反映したトンネル電流を観測することに成功した。さらに、強磁場ではあるが7 Tにおいて分子スピンの効果によると考えられる300 %の正の磁気抵抗効果を観測した。今後、上記トンネル接合をチャネル層に用いた縦型スピントランジスタへの展開が期待される。
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