研究課題
最終年度では、遠距離でのアラゴスポットの大きさがカメラの撮像素子からはみ出る場合のスポット位置を知る装置を作成する予定であった。そのため夜間の室内において20mの遠距離まで実験を行った。しかしながら、それ以上の遠距離においてはアラゴスポットの光強度が低下しスポットがノイズに埋もれて確認しずらく、また昼間の実験は更に困難であった。そこで、(a)「細いレーザー光を拡大して平行レーザー光にしてそれをベアリング球に照射しアラゴスポットを作る」という旧来に方法を止めて、(b)「新たな光学系を設計し、レーザー光のエネルギーロスを無くしベアリング球の周縁部のみにほぼ平行にレーザー光を照射する装置」を考案した。この設計の光線追跡による数値計算を行い、アラゴスポットの光強度が上昇する事を示した。2020年度には、アラゴスポットの直径が、(i)ベアリング球の直径に反比例する事、(ii)ベアリング球とアラゴスポットまでの距離に比例する事、を明らかにした。またアラゴスポットの直径が単純なレーザー光のスポットよりも小さい事を示した。2021年度には、He-Neレーザーに代えて半導体レーザーを使用してアラゴスポットを発生させた。これによりアラゴスポットの直径がレーザー光の波長に比例する事が示された。また、半導体レーザを使う事で装置の小型化が図られ工学的実用性の向上を示した。以上をまとめると、(1)アラゴスポットによりレーザースポットよりも小さいスポットを作る事ができた、(2)レーザー光の波長、ベアリング球の直径、ベアリング球から観測地点までの距離のパラメータ依存性を明らかにしてさらに設計の指針を明らかにした、(3)遠距離でもアラゴスポットが観測できるように光学系を設計した。これによりアラゴスポットによる直線発生装置の実用化に向けて指針を得た。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Plasma and Fusion Research
巻: 17 ページ: 1404088~1404088
10.1585/pfr.17.1404088