研究課題/領域番号 |
20K21023
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 糸状化細菌 / 捕食 / センシング / Flectobacillus / 大腸菌 |
研究実績の概要 |
捕食環境センシングの技術を確立するために使用するFlectobacillus属の糸状化細菌を2株取得し、その2株を中心に、研究を進めた。 昨年に引き続き、2株のFlectobacillus属細菌、Flectobacillus sp. CKおよびFlectobacillus sp. KSSに対して、蛍光タンパク遺伝子および薬剤耐性遺伝子の染色体への導入を、接合とトランスポゾンTn5によって試みたが、成功しなかった。様々な検討を行った結果、遺伝子供与菌であるEscherichia coli SM10λpir株との接合による遺伝子導入が障害となっている可能性が高い。現在も接合を含め、遺伝子導入条件を引き続き検討している。 一方、捕食環境評価に関する実験では、標準的な比較菌株を混合して、相対的な被捕食性の検討も行う予定である。その実験に向けて、遺伝子操作では標準的な菌株として利用されているEscherichia coli K-12株を使って、蛍光タンパク遺伝子と薬剤耐性遺伝子の導入を行った。その結果、Escherichia coli K-12-TGF(緑色蛍光タンパクを保有し、テトラサイクリン耐性)およびEscherichia coli K-12-KRFを取得した(赤色蛍光タンパクを保有し、カナマイシン耐性)を取得した。また、これら菌株を使って、捕食実験を行い、原生動物との接触によって捕食抵抗性を取得することを確認した。本研究成果については学会発表や論文発表を進めていく。 今後は、2株のFlectobacillus属細菌および組換え大腸菌であるEscherichia coli K-12-TGFおよびEscherichia coli K-12-KRFを混合して捕食実験を行い、それぞれが獲得する捕食抵抗性を基に、総合的な捕食環境の評価等を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、2株のFlectobacillus属細菌、Flectobacillus sp. CK、Flectobacillus sp. KSSを利用して遺伝子組換え実験を行った。具体的には、これら2株に、蛍光タンパク遺伝子および薬剤耐性遺伝子の導入を試みたが、成功しなかった。それゆえ、まとまった研究成果につながらず、学会発表や論文発表の成果は出せなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き遺伝子組み換え実験に積極的に取り組み、Flectobacillus属細菌への遺伝子改変技術の適用に関して成果を出して行きたい。一方、Flectobacillus属細菌への導入が予定通り進まない場合の対策として、標準的な細菌である大腸菌を比較菌株として利用し、相対的に捕食抵抗性を評価できる系の確立も進めた。その結果、Escherichia coli K-12株を使って、蛍光タンパク遺伝子と薬剤耐性遺伝子の導入に成功し、2株の大腸菌比較株を構築できた。 それゆえ、まず、これら比較大腸菌株に関する研究成果を基に、学会発表や論文発表を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や人件費・謝金の未使用については、対象とする細菌への遺伝子組換え実験が計画通り進まなかったため生じた。また、コロナの影響で、計画した学会参加や調査等が行えず旅費が未使用となった。次年度は、積極的に実験や学会発表を行って予算を消費する計画である。
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