環境エネルギー面からのコンパクトシティ政策評価としては、つくば市を対象に2050年時点の都市構造における分散型エネルギーシステム(太陽光発電とコージェネレーションシステム)の導入効果について検討した。具体的には、4つのシナリオに基づく市内の人口分布を仮定し、5つの分散型エネルギーリソース導入パターンについて、500mメッシュデータを用いて電力自給率やCO2削減量を計算した結果、地上設置型太陽光発電の導入効果は現状推移の都市構造では1%にも満たず、非集約シナリオによる分散型エネルギーシステムが最も電力自給率が高くCO2削減量も多くなるとの結論を得た。 さらに、3D都市モデル(PLATEAU)を用いた都市デザイン評価として、総合設計制度を適用した建築物から受ける圧迫感・不快感をVRによる被験者実験を通じて定量的に明らかにした。具体的には、東京都23区内の総合設計制度の事例について、先行研究で提唱されてきた圧迫感に関する指標(形態率・天空率など)を独自のプログラムを用いて算出し、クラスター分析により13事例を選定した。次に、PLATEAUおよび現地調査で撮影した写真を用いて、総合設計制度と指定容積率による2つの詳細な3D都市モデルを作成し、30名の被験者によるHMDを用いた被験者実験を実施し、圧迫感指標と圧迫感評価・不快感評価との関係性を分析した。その結果、総合設計制度により高層化しても必ずしも圧迫感及び不快感が増大するわけではなく、創出される公開空地を十分に設けることで不快感を軽減することができることが分かった。
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