研究課題
本研究は、「豪雨災害適応型流域土地利用計画」のシナリオを描き、災害リスク軽減、コストの観点から評価を行うことを目的としている。なお、「豪雨災害適応型流域土地利用計画」の作成にあたっては、「まもる」「さける」「つきあう」の戦略的配置を行うこととした(内容は以下)。「まもる」区域:都市機能や人口が集積する区域は、従来どおり、土木的ハード整備により豪雨災害から守るべき区域と考えられ、このような区域を「まもる」区域とする。「さける」区域:国内の全河川に対して、土木的ハード整備を進めることは、現実的に困難と考えられる。河川は上流から下流まで繋がっており、どこかで氾濫すれば、他の区域は助かるという側面もある。そこで、流域内に意図的に氾濫させる区域を設定し、そこでは居住を制限するという方向性も考えられ、このような区域を「さける」区域とする。「つきあう」区域:河川氾濫のリスクを一定程度受容し、建築物の建て方による対策で、リスク低減を図る区域を「つきあう」区域とする。以上の目的を達成するために、2021年度は以下の項目を実施した。(1)豪雨災害時の河川氾濫シミュレーション:予測されている豪雨を入力条件とした「豪雨災害適応型土地利用計画シナリオ」の河川氾濫シミュレーションを実施した。また、その結果をもとに「豪雨災害適応型土地利用計画」を実行したケースの災害リスク評価(人的被害、建物被害)を実施した。(2)コスト推定:「豪雨災害適応型土地利用計画」の実行に要するコストの推定(2040年まで)を実施した。(3)「豪雨災害適応型土地利用計画」の評価:(1)~(2)を、従来の河川水害対策(土木的ハード整備が中心)を続けた際のシナリオに対しても実施し、これとの比較を通して「豪雨災害適応型土地利用計画シナリオ」の評価を行った。以上の成果を用いて、最終的に「豪雨災害適応型土地利用計画」のあるべき姿を示した。
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