研究課題/領域番号 |
20K21052
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西田 佳史 東京工業大学, 工学院, 教授 (60357712)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫情報学 / 傷害予防 / リスクマネジメント / 機械学習 / データマイニング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、病原体に対して免疫が持っている「抗原の多様性に対する予防機能の特異性」を情報学の観点から再現し、生活環境下の致死性状況の対応へと応用した「リスク免疫情報システム」の構築を通じて、多様性と特異性を両立させる新たなリスクマネジメントの可能性を探索することにある。提案システムを実証的に進めるために、子どもの死亡原因の第2位が不慮の事故である点に着目し、社会的要請高い社会基盤への応用を念頭に、事故情報データベース機能と、学習能力を備えた人工知能の機能とを統合することで、危険や対策の知見を現場で活用可能にする動的分散リスクマネジメントの実装を通じて実現可能性を検証する。本研究課題で目的とするリスク免疫情報システムは、以下の機能から構成されるものである。1)致死性状況学習機能:過去起こった事故状況と物体の形状特徴が紐づいた知識データベースを作成することで、日々変化する危険物体に対する致死性事故状況を学習する機能(白血球の食作用・抗原提示・獲得免疫機能に相当)、2)致死性状況予測機能:年齢ごとに取り得る危険物体とのインタラクションを予測する発達行動モデルを用いた致死性状況予測する機能(白血球の炎症・抗体作成機能に相当)である。2020年度は、1)致死性状況学習機能:典型的でリスクの高い致死性状況を分散表現を応用することで、自動抽出する手法を開発し、学校環境、家庭環境で起こった事故データに適用することで、有効性の検証を行った。また、2)致死性状況予測機能に関しては、事故状況から危険性の高い物体と同等な特徴を持つ環境を研究室で再現したリビングラボを作成し、危険物体の認識機能及び危険物体の組み合わせで生じる危険状況の認識機能を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度は、1)致死性状況学習機能:典型的でリスクの高い致死性状況を分散表現を応用することで、自動抽出する手法を開発し、学校環境、家庭環境で起こった事故データに適用することで、有効性の検証を行った。また、2)致死性状況予測機能に関しては、事故状況から危険性の高い物体と同等な特徴を持つ環境を研究室で再現したリビングラボを作成し、危険物体の認識機能及び危険物体の組み合わせで生じる危険状況の認識機能を開発した。さらに、コロナ禍の影響で急速にニーズの高まっている在宅での事故予防を支援するための情報提示システムのプロトタイプとして、遠隔会議システムを用いた情報提示機能を実装した。おおむね、当初予定していた成果に加え、コロナ禍対応の部分に関しては、予定以上の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、前年度までに開発したリスク免疫情報システムのプロトタイプを拡張し、1)致死性状況学習機能、2)致死性状況予測機能、3)リスク情報提示機能を統合し、リスク免疫サービスの啓発活動を行っているNPO団体等と協力することで、実際の保育所やニーズの高い一般家庭で致死的状況やその予防法を提示する機能の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、申請していた旅費が発生しなかったため、当初計画と差が生じた。2021年度は、この差額を合わせて、当初計画の現場検証を進めるとともに、学会等での発信を進める計画である。
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