研究課題/領域番号 |
20K21055
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
木村 一郎 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (60225026)
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研究分担者 |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 客員教授 (30134993)
泉 吉紀 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60793669)
立石 良 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30823322)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 帯磁率異方性 / 河川 / 河床変動 / 流砂 |
研究実績の概要 |
河川堆積物の構成粒子の配向は堆積環境を示す一つの指標である.その粒子配向の解析には初磁化率異方性の測定が用いられてきた.これは磁性鉱物粒子の長軸とそのAMS楕円体の最大軸が一致するという一般的特徴を利用する方法である.ところがAMSが粒子配向をどれほど正確に示すかを詳細に検討した既往研究はほぼ皆無である.そこで,水理条件を制御して人工的に堆積物を生成し,その構成粒子の配向の解析とAMSの測定を行った.実験試料として富山市岩瀬浜で採取した細粒から粗粒の粒子からなる砂試料を用いた.主たる構成粒子は石英31%,斜長石32%,岩片33%であった.岩石磁気学的解析から,含まれる主要な強磁性鉱物は擬似単磁区サイズのマグネタイトであり,初磁化率の約99%を担うことがわかった.堆積実験は,静水下および実験水路を用いて流水下で行った.試料は7ccプラスチックキューブを用いて一実験につき9試料ずつ採取した.粒子配向の解析のため,採取試料のX線CT画像を取得し,画像解析ソフトによる解析を行った.この結果,以下のことが明らかになった. ①流水中で堆積させたとき,粒子楕円体の長軸は流れと平行に配向が集中し,水平面から上流側に傾く粒子が多く,流量が多い場合の方が流れとより平行に配向し,上流側に傾く粒子が増加する傾向が認められた.流量増加に伴い配向の集中度合が高まる可能性も示唆される. ②流水中で堆積したとき,AMS楕円体の最小軸は鉛直方向から上流側に傾き,最大軸は流れと平行に集中して配向する傾向が見られた.流量増加伴い,まず最小軸が鉛直方向から傾き,その後流れと平行に最大軸の配向が集中する挙動が観察された. ③粒子楕円体の長軸とAMS楕円体の最大軸の配向にはばらつきがあるものの,平均的な粒子楕円体の長軸とAMS楕円体の最大軸の配向は類似の傾向があることが示された.
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