研究課題/領域番号 |
20K21056
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平山 修久 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (00399619)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 消防水利 / 分野横断 / 人口減少 |
研究実績の概要 |
本研究では,将来の人口減少社会における地域の消防力確保のあり方について探索することを目的としている。水道事業による水道管路の減径に伴い消火栓での給水量が低下する可能性が懸念されることから,解析対象地域において,管網解析ソフトウエア(EPANET)による消火機能評価モデルを構築した。 水道分野と消防分野において産官学での分野横断的に,将来の地域の消防力について議論,検討するための「場」を,水道技術研究センター,首都大学東京,東京大学,総務省消防庁,消防研究センター,厚生労働省と協働して「Fire Water Project」研究会を立ち上げ,対面ならびにZoomによるオンライン開催も含めて2回開催した。そこでは,人口減少社会に向けた水道管路の再構築などの水道行政の現状や課題,消防隊の現場活動における活動要領,消火戦術,活動用資機材の現状や大規模火災における対応等について共有した。また,消防水利に関して,水道事業体における配水量などの情報,消防活動における日報などの情報について,どのような項目があるのか情報項目について明らかにするとともに,延焼程度と消防水利との関係を解析するためのデータ収集を行った。 将来の人口減少社会における地域の消防力確保に向けた方策について,水道分野,消防分野における専門家のヒアリング調査を行い,現代の木造建築物に準じた標準温度曲線の再構築,水道・消防における情報共有システム,火災時の水運用手法や消防戦術などの課題を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
将来の人口減少社会に向けた実践的な消防水利の考え方について,水道分野と消防分野との分野横断的な検討を推進する場を構築することができている。この分野横断的な場において,水道,消防のそれぞれの最新の知見や事例,データの収集を進めており,本研究の目的である将来の人口減少社会における地域の消防力確保のあり方についての探求に着実に推進することができている。また,研究協力者との連携により,水道管路の減径に伴う給水量低下による消防水利への影響を解析するモデルを構築できており,人口減少社会に向けた水道システムの再構築と消防水利の確保というトレードオフ関係の検討を推進している。以上のことから,おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後,「Fire Water Project」研究会を継続的に実施し,水道分野と消防分野でのさらなる情報共有,連携を推進する。そのうえで,人口減少社会に向けた水道管路の減径と地域の消防水利とのトレードオフ関係を学術的に明らかにするとともに,消防隊の現場活動の変遷,木造建築物の技術革新を踏まえた,消防水利の合理的な基準を検討するための消防水利に関する基本的結果を導出する。 また,将来の人口減少社会における地域の消防力確保に向けた方策を取り纏めるとともに,将来の人口減少社会での地域消防力を確保するための実践的な学術検討項目を明らかにする。
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