水道管路の減径に伴う消防水利への影響に関する数値解析的検討として,離散的被害推定手法を用いて水道管路被害を推定し,EPANETでの管網解析より,消防水利機能の評価する数値解析モデルを構築した。近年の建物火災に対する消防水利に関する分析を行った。建物火災に対する消防水利は消火栓に依存していることを示しえた。建物火災1件当たりの放水量と焼損面積,放水時間との関連性について検討した。これより,建物火災の焼損面積と放水量とは正の相関関係にある。放水量40m3以上となった建物火災は288件,8.4%で,平均焼損面積は189.5m2であった。すなわち,15年間における建物火災の91.6%は放水量40m3未満であった。 水道分野と消防分野における産官学が分野横断的に、将来の地域の消防力について議論、検討するための「場」を創出した。ワークショップ開催などにより,分野横断的かつ産官学連携で,将来の地域の消防力を確保し,安全・安心な地域社会の創造に取り組むことが重要であることを指摘した。今後,新たな動的管網解析手法,情報共有システムを用いた分野横断的連携手法の開発研究を推進し,水道管路減径と消防水利確保というトレードオフ関係を克服するための分野横断的連携の技法を導出し,地域特性を考慮した実践的な消防水利のあり方を探究することが必要不可欠である。 人口減少社会に向けた水道管路の減径と地域の消防水利とはトレードオフ関係があり,地域の消防力確保においては,水道分野と消防分野での連携技法が必要不可欠であることを指摘した。すなわち,既往の検討においては,水道分野、消防分野でのそれぞれの検討にとどまるものであったが、本申請研究成果により、将来の地域の消防力を担保し、安全・安心な社会の創生のため,今後,これらの学問分野の連携を図り、地域主体での分野横断的かつ産官学連携の取り組みに資するものである。
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