本研究の目的は,広範囲の河川堤防などのインフラ内部の異常箇所を自動で検出し,画像化する自動走行地中レーダロボットを開発することである。本研究の計画は,令和2年度に,(1) 人工衛星測位や方位センサなど複数センサによる自動走行車を開発するとともに、(2) 河川堤防の空洞などを自動検出し画像化する人工知能システムを開発する。令和3年度には,実験による評価として,(3) 砂場やテストサイトなどにおける既知の環境下での評価や,(4) 河川堤防の空洞調査等の社会インフラ点検の現場で実際に適用し推定精度や走行性能を評価する。 令和3年度には,実際に河川堤防の異常箇所の調査点検において,研究開発した自動走行地中レーダを適用し,河川堤防法面や天端における走行性能を評価するとともに,AIで自動検出をするための教師あり・なし学習のためのレーダ画像収集が可能であることを確認した。また,衛星測位ベースでは衛星信号が捕捉できない場所では使用できないため,屋内やビル群の谷間など衛星圏外でも使用できるようにLiDARや超音波ビーコンで自動走行する屋内外自動走行地中レーダを開発した。令和2年度に開発した高精度衛星測位ベースの自動走行レーダでは10cm程度の走行精度であったが,LiDARや超音波ビーコンによる自動走行レーダにおいても同程度の精度で自動走行可能であることを確認した。 研究成果は,学術雑誌掲載1件,学会発表2件,特許出願1件であった。この他,河川堤防における自動走行地中レーダの実証実験は,NHK仙台やkhb東日本放送のニュース報道や,河北新報の紙面で報道された。
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