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2020 年度 実施状況報告書

海域火山活動を常時リモート監視する

研究課題

研究課題/領域番号 20K21066
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

松本 浩幸  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 副主任研究員 (80360759)

研究分担者 杉岡 裕子  神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (00359184)
中村 武史  一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (40435847)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード火山 / 海底観測 / 地震計 / 圧力計 / ハイドロフォン / DAS
研究実績の概要

海域火山(火山島および海底火山)は活動のグランド・トゥルースが取得しにくく、噴火の予測や早期検知が格段に困難なことが課題となっている。本研究は、既存の海底観測ネットワークを利用して海域火山の活動を常時監視する手法を提案する。海域火山活動に関連する水中音波シグナルが遠方まで伝播する特性に着目して、既存の地震と津波に関する海底観測ネットワークを利用することにより、海域火山活動を常時リモート監視する体制の実現を目指している。
本来は海底観測ネットワークに含まれる海底地震計や圧力計(津波計)で火山活動に関連する水中音波を検出することを想定しているが、国際競争力の強化のために、2021年度は光ファイバによる新しい海底観測技術による水中音波の検知性能の検討を行った。海洋研究開発機構が運用してきた「海底地震総合観測システム」は2019年3月に観測を終了し、現在は海底ケーブル部を利用して光ファイバセンシング技術のひとつである「DAS: Distributed Acoustic Sensing(分布型音響センサー)」の観測データを収録している。海底ケーブルの近傍でエアガン発振をする機会があったので、DASによる水中音波の観測の適否を考察した。
エアガン発振の結果、発生した水中音波が海底ケーブル内の光ファイバの擾乱を誘発して、入射光と反射光の位相差が高精度に観測された。DASで観測された水中音波シグナルは、水中での爆発的事象を特徴づける広帯域にエネルギーをもち、ハイドロフォンによる観測と調和的であった。海底ケーブルに沿って相関があるシグナルが観測されたので、海底ケーブルのレイアウトを工夫すれば、DASによる水中音波のアレイ解析への適用が可能であることを示唆した。これらの研究成果は国際誌に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究で取り扱う海底観測ネットワークは、南海トラフのDONETと日本海溝のS-netを想定している。これらの公開データの解析を行うためのプログラムの整備に着手したが、海域火山活動に関連するデータ解析には至っていない。しかしながら、国際競争下にある光ファイバ技術により観測されたエアガン由来のシグナルのデータ解析を達成し、DASで水中音波を検知できることを実証した。このことは、本研究の目的である海域火山活動のリモート監視を達成する手段のひとつとなり得ることを示唆する。これらの理由により、本研究の進捗はやや遅れているといえる。

今後の研究の推進方策

既存の海底観測ネットワークで、海域火山活動に由来するシグナルを効率的に検出するため、研究代表者ならびに研究分担者がデータ解析と現地観測に携わってきた硫黄島ならびに西之島の現場観測データが存在する期間に絞って、DONETならびにS-netのデータ解析を進める。
また水中音波はDASにより効果的に検知できることが明らかとなったことから、海域火山活動に関連するDAS観測のデータ解析も同時に進める。具体的には、2021年度に鬼界カルデラ周辺での火山性地震の連続観測やエアガン調査が計画されている。研究代表者と研究分担者はこれらのDAS観測に主体的に参画しているので、海域火山の近傍で取得されるDAS観測のデータ解析を進める。そして、光ファイバセンシング技術が海域火山のリモート監視に資するかどうかの検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、海底観測ネットワークのデータ解析のためのプログラムの整備を行ったため、データ解析に必要なワークステーションの購入が次年度以降になった。また、本年度実施したDAS観測のデータ解析は、データ容量が膨大なことが判明したため、海洋研究開発機構の計算機システムのワークスペースを利用した。次年度もDAS観測のデータ解析は継続することになるが、データを間引く前処理を行った観測データを利用できるようにしたので、手元のワークステーションで効率よく解析を進める計画である。
本年度は、各研究機関で会議のオンライン化が進んだため、データ解析のプログラムの整備に必要な研究打ち合わせはオンラインで行った。このため旅費の使用はなかったが、データ解析はハードディスク間のコピーなど対面での作業が必要になると見込まれる。
さらに本年度見込んでいた、論文を投稿するための英文校正の支出も次年度になった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] CTBTO(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      CTBTO
  • [雑誌論文] Detection of hydroacoustic signals on a fiber-optic submarine cable2021

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Hiroyuki、Araki Eiichiro、Kimura Toshinori、Fujie Gou、Shiraishi Kazuya、Tonegawa Takashi、Obana Koichiro、Arai Ryuta、Kaiho Yuka、Nakamura Yasuyuki、Yokobiki Takashi、Kodaira Shuichi、Takahashi Narumi、Ellwood Robert、Yartsev Victor、Karrenbach Martin
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 2797

    • DOI

      10.1038/s41598-021-82093-8

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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