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2020 年度 実施状況報告書

極限環境での安定動作が可能な固体イオニクス論理素子の実証

研究課題

研究課題/領域番号 20K21068
研究機関東北大学

研究代表者

中村 崇司  東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20643232)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード固体イオニクスデバイス / 高温論理素子 / イオン整流
研究実績の概要

近年、データサイエンスの技術は飛躍的に向上しており、ビッグデータの有効な活用が新しい技術や価値の創出に繋がると期待されている。こうしたデータ解析技術を十全に活用するためには、質の高いデータセットが必要不可欠であり、優れた情報収集技術の開発が必要となる。数100℃以上の超高温域や放射線暴露環境でも安定的に動作する論理素子が実現すれば、極限環境からのデータ収集技術が飛躍的に進歩することが期待できる。例えばタービンや溶鉱炉などの高温産業現場からの情報収集、原子炉や高線量環境のモニタリング、また地核調査や宇宙探索など幅広い分野に応用することが可能となり、産業分野と基礎学術の発展に大きく貢献することできる。本研究では、申請者らが発見した固体電解質ヘテロ界面におけるイオン整流現象(イオンが一方向に流れやすくなり、逆方向には流れにくくなる現象)を活用する事で、高温、放射線暴露状態などの極限環境においても安定的に動作可能なロバスト性を備えた論理素子の開発を目指す。
今年度は高温でイオン電導性を示す酸化物イオン伝導体のヘテロ界面を対象に、デバイス化に向けて整流性の向上を検討した。その結果、酸化物イオン伝導体ヘテロ界面では様々な酸化物イオン伝導体ヘテロ界面にてイオン整流性が発現することを発見した。さらに酸化物イオン-電子混合伝導体と酸化物イオン伝導体のヘテロ界面でも強い整流性が発現することを発見し、YSZ/La2NiO4ヘテロ界面では整流比10以上の強い整流性を示すことを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、今年度は様々な酸化物イオン伝導体ヘテロ界面を構築し、その伝導特性を評価した。上記のスクリーニング評価を進めたところ、YSZ/La2niO4ヘテロ界面で強いイオン整流性が発現することを見出した。また、その整流性の起源が界面に生じたイオン空乏層のせいではないことが分かった。当初の予想では、ヘテロ界面に形成されるイオン空乏層によりイオン整流性が発現すると予想していたが、実際にはイオン空乏層以外の要因を知ることができた。これは来年度のデバイス実証に向けて非常に重要な知見である。例えばキャリア空乏層を活用するようなトランジスターやNAND回路などは作製できないことを意味している。

今後の研究の推進方策

今年度、YSZ/La2NiO4ヘテロ界面で強い整流性が発現することを発見した。来年度はこのYSZ/L2NiO4ヘテロ界面を利用した超高温論理デバイスの実証を検討する。具体的にはダイオードを並列に結合したAND回路やOR回路を模試して、超高温環境で安定的に動作可能なイオンAND回路およびイオンOR回路の実現を目指す。すでに素子の設計は完了しており、来年度での実証実験を目指す。
上述した通り、YSZ/La2NiO4ヘテロ界面は強いイオン整流性を示すが、これはキャリアの空乏層形成によるものではない。つまり空乏層の特性を活用したFETやバイポーラ―トランジスタのような利用はほぼ不可能であるということである。そこで来年度はAND回路やOR回路など、整流素子を並列に結合する方法で理論素子を作ることができないか検討する。

次年度使用額が生じた理由

今年度計画していた分析を次年度に実施する予定であり、そのための分析費用を繰り越した。また当初今年度計画していたサンプルホルダー作製を次年度に延期したことにより、必要な物品費および工場利用料金分の金額を繰り越した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 酸化物イオンの整流性を利用した高温論理素子の実証2021

    • 著者名/発表者名
      中村 崇司、本田 美李、木村 勇太、雨澤 浩史
    • 学会等名
      電気化学会第88回大会

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公開日: 2021-12-27  

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