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2020 年度 実施状況報告書

窒化・脱窒素法による遷移金属化合物の合成

研究課題

研究課題/領域番号 20K21072
研究機関筑波大学

研究代表者

柳原 英人  筑波大学, 数理物質系, 教授 (50302386)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード強磁性微粒子 / 規則合金 / 窒化物
研究実績の概要

FeCo合金微粒子を出発材料として、窒化脱窒素過程を経てFeCo合金の規則化を目指している。1年目は、主に原料として用意するFeCo合金の合成方法について検討を行った。塩化鉄と塩化コバルト水溶液のPHを変化させ、共沈させることでFeCo水酸化物微粒子を作製し、これを水素雰囲気中で還元させて、FeCo微粒子を得ることを試みたところ、XRDで見る限り十分均質なFeCo微粒子が合成できることが明らかになった。続いて、このFeCo微粒子について様々な条件で窒化を試みたところ、380℃のアンモニア雰囲気で窒化させるとほぼ100%の(Fe,Co)3N相が得られることがわかった。Fe3Nについてはこれまでにその相の存在が知られていたが、(Fe,Co)3Nに関しては、本合成プロセスを経て初めて合成されたもののようである。(Fe,Co)3N微粒子は、室温では磁化がほぼ消失しており、非磁性であった。窒化物として存在するFeとCoが、それぞれ選択的に特定の格子位置を占有しているかどうか現在確認中である。また、(Fe,Co)3Nの低温での磁性についても調べている。
続いて、得られた(Fe,Co)3N微粒子を水素雰囲気中で脱窒素しFeCo合金に戻した。飽和磁化や保磁力と言った磁気的な特性は窒化前とほぼ同じであったことから、少なくともL10-FeCoのような規則化は生じてないものと考えられる。窒化物、脱窒化後の合金粒子それぞれの原子位置に関する詳細な検討が必要である。今後は、FeCoの窒化条件を更に広げて(Fe,Co)2Nの合成条件を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

窒化・脱窒素過程に限らず試料作製の基本は、良質な原料の確保である。当初、費用と時間のかかる熱プラズマ法による合金微粒子合成と、簡便かつ安価な共沈法によるものの2つの手法を検討していたが、今回、出発原料を共沈法で作製できることが明らかになったことで、今後様々な遷移金属合金の窒化を簡単に試みることができそうである。またFeCoの窒化の結果、(Fe,Co)3Nが合成できたことは希望を持てる成果であると考える。

今後の研究の推進方策

FeCoの窒化条件について、より窒化が促進する方向を目指して合成を進めていく。特定の窒化相の純度を高める方向ではなく、より高い窒化度を目指していきたい。また、合成した窒化物の構造解析、磁性の評価等についても一通りのデータを取りながら、窒化物の合成にフィードバックをしたい。
すでに実績のあるFeNiについても共沈法で原料を作製して、他の原料から作製したものとの差についてしらべることで、より窒化させやすい原料の形態についても知見を得たい。

次年度使用額が生じた理由

当初、出発原料として熱プラズマ法によるものについても検討していたが、並行して原料として用いる予定であった共沈法によるものが比較的良好な結果を示したことから、熱プラズマ法による原料を外部から購入することを見合わせたため、次年度使用額として残金が生じた。共沈法を用いた原料は安価で簡便であるため、多数の異なる原料の窒化を試みることが可能になる。翌年度分の助成金とあわせて窒化源となるアンモニアやその他の消耗品の購入費として使用する計画である。

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公開日: 2021-12-27  

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