研究実績の概要 |
FeCo合金微粒子を出発材料として、窒化脱窒素過程を経てFeCo合金の規則化を目指している。1年目は、主に原料として用意するFeCo合金の合成方法について検討を行った。塩化鉄と塩化コバルト水溶液のPHを変化させ、共沈させることでFeCo水酸化物微粒子を作製し、これを水素雰囲気中で還元させて、FeCo微粒子を得ることを試みたところ、XRDで見る限り十分均質なFeCo微粒子が合成できることが明らかになった。続いて、このFeCo微粒子について様々な条件で窒化を試みたところ、380℃のアンモニア雰囲気で窒化させるとほぼ100%の(Fe,Co)3N相が得られることがわかった。Fe3Nについてはこれまでにその相の存在が知られていたが、(Fe,Co)3Nに関しては、本合成プロセスを経て初めて合成されたもののようである。(Fe,Co)3N微粒子は、室温では磁化がほぼ消失しており、非磁性であった。窒化物として存在するFeとCoが、それぞれ選択的に特定の格子位置を占有しているかどうか現在確認中である。また、(Fe,Co)3Nの低温での磁性についても調べている。 続いて、得られた(Fe,Co)3N微粒子を水素雰囲気中で脱窒素しFeCo合金に戻した。飽和磁化や保磁力と言った磁気的な特性は窒化前とほぼ同じであったことから、少なくともL10-FeCoのような規則化は生じてないものと考えられる。窒化物、脱窒化後の合金粒子それぞれの原子位置に関する詳細な検討が必要である。今後は、FeCoの窒化条件を更に広げて(Fe,Co)2Nの合成条件を検討する。
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