研究課題
共沈法を用いてFeCo水酸化物微粒子を合成し、これを水素還元することでFeCo(1:1)の微粒子を作製し、前駆体とした。続いてアンモニアガス導入によりFeCo窒化物微粒子を作製した。窒化物の結晶構造はX 線回折測定を行いリートベルト解析を用いて決定した。FeCo窒化物はFe3N構造と同じ構造であることが確認された。磁気特性には、VSMを用いた室温および低温での磁化磁場曲線と、広い温度範囲での磁化、磁化率に関して測定を行った。その結果、FeCo窒化物は低温で強磁性であり、キュリー温度が100 K 付近にあることがわかった。これは、(FeCo)3N のキュリー温度がFe3Nのキュリー温度Tc=575 Kに比べて著しく低減していることを意味しており、今後Fe のサイトをCoが置換することでキュリー温度が大幅に低下する機構については明らかにする必要がある。またメスバウアー分光測定の結果、低温での飽和磁気モーメントは、純Fe のそれと比べてかなり小さいことがわかった。明らかに窒素の影響で飽和磁化が下がっていることを意味している。本実験で(FeCo)3Nは、低温では自発磁化を持つことが明らかになったが、今後これがフェロ磁性かフェリ磁性であるか明らかにしたい。また実験室で行ったX線回折実験では、Fe と Coが規則的に配列している規則合金になっているかどうかはっきりしなかった。これについても異常分散を用いて調べる必要があると考える。
すべて 2022
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Journal of Magnetism and Magnetic Materials
巻: 548 ページ: 168970~168970
10.1016/j.jmmm.2021.168970