本研究では,導電性金属材料の中空マイクロニードルを作製する新手法を開発することを目的とする.そのための革新的な加工原理として,従来から知られている金属材料が数百%の大きな伸びを示す超塑性変形現象の枠組みをさらに拡張させた超塑性変形・破壊現象を本研究では新たに提唱する.超塑性変形・破壊現象を利用し,金属材料をまるでガラス管の加工のように引張り切ることにより,これまでにない新たなダイレス加工原理による超極細先端径を有する導電性金属マイクロニードルの創製を実現する. 今年度は,昨年度開発した局部加熱が可能な超小型マイクロニードル作製装置を用いて根本が1mmで先端が徐々に細くなるニードルのテーパー形状の制御原理を見出し,実際に先端径50μmのマイクロニードルの創製に成功した.またテーパ構造の制御に関しては複数のテーパ形状を速度パスによって制御できることを示した.以上の結果より,本研究で提案する超塑性変形と破壊を利用した新しい加工原理の有効性を示すことができた.
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