層状化合物のナノ周期構造転移を利用した巨大熱伝導率変調材料を開発した。高温相を室温凍結させる非平衡合成により2次元(2D)構造SnSeと3次元(3D)構造PbSeの固溶体(Pb1-xSnx)Seを合成し、x=0.5において2D構造と3D構造の直接相境界を形成した。温度変化によって2D構造から3D構造へ可逆的に転移させ、熱伝導率を3倍変化させることに成功した。半導体(2D構造)から金属(3D構造)へ変化することで電気伝導度が6桁増加し、電子の熱伝導率への寄与が大きくなる一方で、2D構造では層構造が格子振動による熱伝導を阻害するため、結果として熱伝導率の変化が大きくなるというメカニズムも解明した。
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