研究課題/領域番号 |
20K21081
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇治原 徹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312641)
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研究分担者 |
原田 俊太 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (30612460)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | インターカレーション / 熱伝導率変化 |
研究実績の概要 |
本研究では、非晶質をベースにイオンの挿入・脱離で熱伝導率が大きく変化する新たな機能性材料分野の開拓を目指す。具体的には、熱伝導可変物質を活用し熱スイッチを試作する。熱伝導可変物質とイオン供給層を積層させ、イオンが移動する程度に電圧を短時間印加する。それで高熱伝導状態(on)と断熱状態(off)を切り替える。また、ペルチエ、蓄熱材と熱スイッチを組み合わせることで、熱制御のための基本的な熱デバイス動作を実現できる。本研究では、ホスト非晶質酸化物へのイオン挿入・脱離による熱伝導率変化を例にして、非晶質における熱伝導率変化のメカニズム解明と機能設計のための指導原理の確立を行う。我々はすでに、非晶質の酸化タングステン(WO3)への水素イオン挿入脱離で30倍近くの熱伝導率変化を確認しており、これをベースにする。 当初、WO3を中心として、V2O5、SnOをホスト酸化物にイオン挿入を試してみる予定だったが、当該年度は、それ以外にNiOを選択しイオン挿入を行い、熱伝導率の変化を実験的に確認した。熱伝導率変化のメカニズムの解明としては、WO3中へのLi挿入における構造変化をラマン分光によって分析し、構造と熱伝導率変化に相関があることを突き止めた。また、全固体型を実現するための構造設計を行い、実際にプロトタイプを作成した。さらに、実際にイオンのインターカレーションを行うことで、熱伝導率が変化することも確認した。また、逆向きに電流を流すことで可逆的に熱伝導率が変化することも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全固体型の素子にするうえで重要となる材料を見出し、スパッタリングにより積層構造を形成し、さらに熱伝導の変化も確認した。これは当初予定していた通りの成果である。
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今後の研究の推進方策 |
基本となる物質と構造を見出すことはできたので、今後メカニズム解明と、さらに熱伝導率変化を大きくするために、構造の最適化などを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に関しては、大学の共通機器による試料作製と既存装置による測定のみで、基礎的な実験を実施することができた。当該年度に確立した手法を応用し、次年度は積層構造を多元スパッタで作成することとなる、そのためにはターゲットなどの購入が必要となる。
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