本研究では,マルテンサイト鋼の脆性破壊という具体的な現象において,その破壊過程におけるミクロスケール塑性変形挙動をSEM-EBSD解析,デジタル画像相関法,有限要素シミュレーションにより定量的に評価した.この結果は,破壊現象における原子スケール破壊特性 / ミクロスケールでの塑性変形挙動 / マクロ破壊特性の定量相関解明に関しての道筋を示したものであるため,破壊研究分野を飛躍的に発展させる契機となる可能性を十分に有していると言える.さらに脆性破壊を抑制するための材料組織制御法に繋がるため,耐破壊特性に優れた材料開発を通して,安全・安心な社会を構成するための社会基盤の構築に貢献しうるものである.
|