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2021 年度 実施状況報告書

逆磁歪効果を利用した振動発電の超大出力化

研究課題

研究課題/領域番号 20K21088
研究機関大阪大学

研究代表者

藤枝 俊  大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60551893)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード磁性・電子・情報材料 / 逆磁歪効果 / 磁歪 / 振動発電
研究実績の概要

磁歪の逆効果(逆磁歪効果)を利用した振動発電の発電特性は、デバイスのサイズを大きくすると飛躍的に増大することが原理的に予測されており、デバイス大型化に対応可能な振動発電用の逆磁歪材料が求められている。本研究では、逆磁歪材料としてFe-Si合金多結晶である電磁鋼板に着目し、大型振動発電デバイスへの応用の可能性を明らかにすることを目的とする。
昨年度の研究において、方向性電磁鋼板を逆磁歪材料として小型のユニモルフU字型デバイスに取り付けて振動発電試験を行った。このデバイスでは、逆磁歪材料をU字型フレームに張り付けたユニモルフコアにコイルを巻き付け、U字型フレームの開口部に設置した永久磁石でバイアス磁場を印加する。デバイスの一端を固定し他端を振動させると、逆磁歪材料に圧縮および引張り応力が発生し、逆磁歪効果に起因して磁束密度変化が生じるため、電磁誘導により誘導起電力が得られる。方向性電磁鋼板を板状に切り出し、その圧延方向に応力が生じるようにデバイスに取り付けることで、良好な発電特性が得られることが明らかになった。そこで、本年度は、デバイスのサイズの大型化が発電特性に及ぼす影響を調べた。具体的には、小型デバイスを等アスペクト比で2倍に大きくし、8 mm × 32 mm × 0.35 mmの方向性電磁鋼板を2枚重ねで搭載した全長約80 mmのデバイスの振動発電試験を行った。デバイスを100 Hzで先端変位の振幅が2.0mmとなるように振動させた結果、逆磁歪効果による磁束密度変化に起因して5.66 mWの平均電力が得られた。この値は、逆磁歪効果による磁束密度変化が同程度になるように小型デバイスを同一振動数で振動させた際の平均電量(0.22 mW)よりも遥かに大きい。したがって、方向性電磁鋼板を利用することで、高出力大型振動発電デバイスの実現が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

方向性電磁鋼板を搭載した振動発電デバイスを大型化することで、発電特性が顕著に増大することを実証できた。

今後の研究の推進方策

本年度の研究で方向性電磁鋼板を搭載したデバイスを等アスペクト比で大型化すると発電量が向上することが明らかになったので、その定式化に取り組む。また、それを実験的に検証することにより、大型デバイスの有効な活用方法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

本年度の実験実施にあたり、前年度購入した消耗品を用いてデバイスを組み立てたため、経費を大幅に節約することが出来、次年度使用額が生じた。当初予定に無かった大型デバイスの発電量の定式化に取り組むための費用として、令和4年度の予算と合わせて有効に使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Vibration Power Generation Property of U-Shaped Unimorph Device Using Grain-Oriented Electrical Steel2021

    • 著者名/発表者名
      Okada Taku、Fujieda Shun、Hashi Shuichiro、Ishiyama Kazushi、Suzuki Shigeru、Seino Satoshi、Nakagawa Takashi、Yamamoto Takao A.
    • 雑誌名

      MATERIALS TRANSACTIONS

      巻: 62 ページ: 1798~1801

    • DOI

      10.2320/matertrans.MT-M2021079

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 方向性電磁鋼板を用いた振動発電デバイスの大型化と発電特性との関係2022

    • 著者名/発表者名
      岡田 拓、藤枝 俊、鈴木 茂、清野 智史、中川 貴
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] Vibration power generation using Fe-Ga alloy single crystal2021

    • 著者名/発表者名
      S. Fujieda, N. Gorai, T. Kawamata, R. Simura, T. Fukuda and S. Suzuki
    • 学会等名
      Thermec
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 振動発電デバイスに搭載した方向性電磁鋼板の磁束密度変化2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝 俊、岡田 拓、枦 修一郎、石山和志、鈴木 茂、清野智史、中川 貴、山本孝夫
    • 学会等名
      日本磁気学会
  • [学会発表] 磁気と弾性の相互作用を利用した振動発電2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝 俊
    • 学会等名
      応用物理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 方向性電磁鋼板の振動発電特性に及ぼす圧延方向の影響2021

    • 著者名/発表者名
      岡田 拓、藤枝 俊、鈴木 茂、清野 智史、中川 貴
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] Fe-Co合金の応力-ひずみ特性に及ぼす逆磁歪効果の影響2021

    • 著者名/発表者名
      門田優哉、藤枝 俊、清野智史、中川 貴、山本孝夫
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] 高飽和磁束密度のFe-Co-V合金の振動発電への応用2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝 俊、井上森平、岡田 拓、枦 修一郎、石山和志、鈴木 茂、清野 智史、中川 貴、山本孝夫
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [図書] 環境発電ハンドブック 第2版2021

    • 著者名/発表者名
      藤枝俊、鈴木茂
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      978-4-86043-748-0

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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