磁歪の逆効果(逆磁歪効果)を利用した振動発電の発電特性は、デバイスのサイズを大きくすると飛躍的に増大することが原理的に予測されており、デバイス大型化に対応可能な振動発電用の逆磁歪材料が求められている。本研究では、逆磁歪材料としてFe-Si合金多結晶である電磁鋼板に着目し、大型振動発電デバイスへの応用の可能性を明らかにすることを目的とする。 昨年度までの研究において、方向性電磁鋼板を逆磁歪材料としてユニモルフU字型デバイスに取り付けて振動発電試験を行った。方向性電磁鋼板を板状に切り出し、その圧延方向に応力が生じるようにデバイスに取り付けることで、良好な発電特性が得られることを示した。また、デバイスのサイズを等アスペクト比で大きくすると、発電特性が向上することを明らかにした。具体的には、全長約40 mmの小型デバイスを100 Hzで先端変位2.0 mmで強制振動させた際の平均電力は0.2 mW程度であるが、等アスペクト比で2倍の全長約80 mmのデバイスを、同周波数で先端変位も2倍の4.0 mmで強制振動させた際の平均電力は6 mW程度であった。そこで、本年度は、さらにデバイスサイズを大きくした際の発電特性を調べた。具体的には、等アスペクト比で4倍の全長約160 mmのデバイスの振動発電試験を行った。同周波数で先端変位も4倍の8.0 mmで強制振動させた結果、40 mW程度の平均電力が得られた。つまり、デバイスサイズの大型化が発電量の向上に有効であることが明確になった。また、これまで得られた実験結果より、デバイスサイズと発電量の関係を定式化することにも成功した。
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