研究実績の概要 |
本研究では、まず、原子分解能走査透過型電子顕微鏡(STEM)像において、原子位置を同定する一連のコンピューター作業をRPA(Robotic Process Automation)ワークフローで自動化することを試みた。一部、工程の改良などを経て、作業を100%自動化することに成功した。自動されたワークフローの動作は動画で公開している(https://youtu.be/Zw2qbA2ebnA)。 自動化されたRPAワークフローを用いることで、(1-x)BiFeO3-xBaTiO3 (x = 0.2 ~ 0.4)におけるナノスケールの極性構造形成が解明された他(Kim et al., Adv. Mater., 2023)、Hf0.5Zr0.5O2ナノ粒子における直方晶相構造の形成(Fujimoto et al., J. Am. Ceram. Soc., 2022)やリラクサー型強誘電体における極性ナノ構造およびMPB型圧電体におけるラメラ状ナノドメインにおける極性構造を、原子スケールで可視化する(Sato et al., J. Mater. Sci., 2021)など、強誘電体の原子分解能STEM解析において有用な成果を挙げることができた。 加えて、RPAワークフローの応用として、原子分解能STEM像シミュレーション研究の自動化も行った。こちらも約100%の作業自動化に成功して、マルチドメインBaTiO3のSTEM像シミュレーションを行った結果は論文として公表された(Fukao et al., J. Phys. Soc. Jpn., 2021)。 また、現在、BaTiO3ナノ粒子の強誘電性のサイズ効果およびその温度依存性を継続して調査しており、成果がまとまり次第公表する予定である。
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