研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ペロブスカイト型酸化物BiFe1-xCoxO3は室温で強誘電性秩序と弱強磁性秩序が共存したマルチフェロイック物質である。本研究では、電場印可による電気分極の反転により磁化反転が起こる機構を解明することを目指して研究を推進した。BiFe1-xCoxO3と同じ結晶構造をもつBiFeO3に着目し、弱強磁性の向きを決めているとされるFe-O6八面体の回転パターンを、原子分解能の走査透過電子顕微鏡を用いて直接観察することに成功した。
材料科学
本研究の目的はBiFe1-xCoxO3をベースとして、電場により制御可能な、新しい原理に基づいた低消費電力の磁気メモリ実現のための路を拓くことである。電場印可による磁化反転の際に鍵となるFe-O6八面体の回転パターンを直接観察することに成功したことは、その機構解明のための大きな一歩となる成果である。また、電気分極の反転機構自体も、強誘電体研究の重要な研究テーマの1つである。八面体回転パターンの直接観察という新しい方法論を提案することができたと考えている。