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2020 年度 実施状況報告書

低温・敏速造形を実現する金属3Dプリンター用合金ナノペーストの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K21095
研究機関関西大学

研究代表者

川崎 英也  関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50322285)

研究分担者 上田 正人  関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード液体金属 / 銅粒子 / 合金化 / 金属3Dプリンタ
研究実績の概要

本研究は低温(150℃以下)・短時間で金属3Dプリンタによる積層造形を可能にする「ガリウム系液体金属に銅ナノ粒子を分散させたペースト(以下、LTGCペーストと呼ぶ)の開発」を目的とする。本年度は、金属3Dプリンタによる印刷・造形に必要なペースト特性として、高粘度(目標 100-500 Pas程度、ハンドクリーム程度の粘度)とチクソ性(外部から力をかけている間は流動性を示し外力がなくなり静止した状態では流動性がなくなる性質)を示すLTGCペーストを、液体金属(EGaIn)と銅粒子の混合比率を変えて検討した。Cu :EGaIn=1:3、溶媒として乳酸とエチレングリコール系の混合溶媒(徐々に添加)で上記特性を有するLTGCペーストを作成できることを見出した。LTGCペーストは、Cuとガリウムとの合金形成により、150℃で合金化し、硬化することが確認された。また、LTGCペーストの混合する銅粒子(扁平銅粉、銅微粒子:500nm, 200nm、銅ナノ粒子:3nm)の種類を検討した結果、Cuとガリウムとの合金形成速度が粒子サイズに依存することを見出した。LTGCペーストを混合、塗布、熱硬化させるのに最適な混合する銅粒子は、扁平銅粉が最適であることがわかった。但し、LTGCペーストの合金化反応は、室温でも進行し、その熱硬化反応の再現性が低いこと、更に硬化物が脆く、強度に課題があることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「ガリウム系液体金属に銅ナノ粒子を分散させたペースト(LTGCペースト)は調製できたが、その熱硬化反応の再現性が低いこと、硬化物が脆く強度に課題があるなど、目標とする金属3Dプリンタによる印刷・造形に必要なペースト特性が得られていない。

今後の研究の推進方策

熱硬化反応の再現性が低いのは、LTGCペーストと銅粒子との合金化反応が、室温でも混合直後に進行して、合金化反応が制御できないことに原因があると考えている。そのため、今後は、液体金属と銅粒子を直接混合するのではなく、液体金属をカーボン/酸化皮膜でコートした液体金属ナノ粒子(カーボン/酸化皮膜の殻をもち、内部は液体金属のコアシェル粒子)を調製し、この液体金属コアシェル粒子と銅粒子からなるペーストを作成する。このカーボン/表面酸化皮膜により銅粒子と液体金属との合金化反応は、加熱時にのみ生じるように設計する。この液体金属のコアシェル粒子と銅粒子をベースとするLTGCペーストにより、金属3Dプリンタによる印刷・造形を実施する。

次年度使用額が生じた理由

金属3Dプリンターに利用できる液体金属系ペーストの開発が遅れており、3Dプリンターによる塗布・印刷するための機器購入をしなかった。また、新型コロナの影響下で2020年4月~9月とほぼ半年、研究が進められない状況もあった。以上の理由から、当初予定していた
予算使用額が少なくなり、次年度使用額が生じた。この発生した次年度使用額については、3Dプリンターにより塗布・印刷するための塗布・印刷機器やインク化するための分散装置購入に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Surface and Interface Designs in Copper-Based Conductive Inks for Printed/Flexible Electronics2020

    • 著者名/発表者名
      Tomotoshi Daisuke、Kawasaki Hideya
    • 雑誌名

      Nanomaterials

      巻: 10 ページ: 1689~1689

    • DOI

      10.3390/nano10091689

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 低温焼結・導電性銅ペーストにおける粒子/界面設計2020

    • 著者名/発表者名
      川崎英也
    • 学会等名
      第71 回コロイドおよび界面化学討論会
    • 招待講演
  • [図書] 金属ナノ粒子の合成/構造制御とペースト化および最新応用展開2020

    • 著者名/発表者名
      米澤 徹, 畠山 義清, 白石 壮志, 鳥本 司, 亀山 達矢, 津田 哲哉,桑畑 進,佐伯 拓,米谷 紀嗣, 佐藤 進, 林 大和,清野 智史,武田 真一,徳永 智春,堀 史説,武居 正史,川﨑 英也,橋本 夏樹, 大沢 正人
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      (株)R&D支援センター
    • ISBN
      978-4-905507-48-2
  • [備考] 関西大学 界面化学研究室

    • URL

      https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/colloid/publications/publications2020

  • [備考] Publication List

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=4hE8PwYAAAAJ&hl=en

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公開日: 2021-12-27  

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