金属ナノ粒子の非最密集積構造の一つとして、金属ナノ粒子をコア、シリカをシェルとするコア-シェル型粒子の3次元周期構造体の作製を引き続き検討した。金や銀などの金属ナノ粒子(Plasmonic nanoparticle)が一定の間隔を空けて配列した構造体(非最密集積構造体)からは、規則配列した構造体から得られる回折波と、配列体を構成するナノ粒子の光学特性との相互作用によって、表面格子共鳴と呼ばれる光学特性が発現することが知られる。ナノ粒子の非最密集積体に関する研究は従来、2次元の集積構造体を対象としていたが、本研究では、単分散なコア-シェル粒子の自己組織化現象に着目し、粒径100 nm程度の金ナノ粒子の非最密充填構造体の作製に挑戦し、金ナノ粒子同士が互いに接しない3次元非最密集積体を作製することに成功した。本集積構造において、シリカシェルは金ナノ粒子間距離を制御するためのスペーサーとしてはたらくため、シェル厚制御によって、金ナノ粒子間距離を自由に制御できる。また、作製した集積体に、シェル成分(シリカ)と同程度の屈折率を有する液体(ジメチルスルホキシドと水の混合液)を流し込むと、シェル-シェル間に形成される間隙はその混合液で満たされるので、金ナノ粒子は光学的にも非最密状態で3次元規則配列することになる。このような金ナノ粒子の3次元集積体を利用すれば、3次元プラズモニックナノ構造体の光学特性を検討できることを実験的に明らかにし、同集積体内で表面格子共鳴が強く発現する金属ナノ粒子の空間配置を明確にするための道筋を示した。
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