研究課題/領域番号 |
20K21109
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (70343259)
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研究分担者 |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 金属ナノ粒子 / 光 / オンデマンド合成 / 光還元 / 機能性 |
研究実績の概要 |
申請者らが独自に見出した安息香酸を還元剤・安定化剤として光化学的に金属ナノ粒子を合成する方法に基づき、機能性金属ナノ粒子を「光」により精密に合成する革新的ナノプロセシング技術の開発に挑戦する。三年間の研究により、(1) Auナノ粒子生成のメカニズムの解明に基づく本合成法の基礎固めを行うほか、得られた知見に基づき、(2) 異種金属ナノ粒子の合成、ならびに (3) コアシェルおよび合金ナノ粒子の合成に展開する。これらの研究を通して、サイズ・組成・モルフォロジーを精密に制御した機能性金属ナノ粒子を欲しい位置に欲しいだけ作成する新技術を開発する。 2020年度は、安息香酸を用いるAuナノ粒子のプロセシングに焦点を絞り、ナノ粒子生成メカニズムの解明とともに各種ファクターの粒径への影響を調べた。塩化金酸を含む安息香酸水溶液へ光照射を行うと、Auナノ粒子生成とともにCO2が定量的に生成した。したがって、安息香酸-Au前駆体錯体の光励起によるカルボキシル基の酸化とAu3+の還元によりAuナノ粒子が生成することが分かった。透過型電子顕微鏡観察により、安息香酸濃度は生成するAuナノ粒子のサイズに強く影響し、高濃度溶液で調製した場合に小粒子が形成されることが分かった。すなわち、安息香酸-Au前駆体錯体の生成量が多いほど多量の結晶核が生成することを支持している。したがって、安息香酸濃度により粒径の制御が可能となることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安息香酸を還元剤・安定化剤として用いるAuナノ粒子合成が可能であること、また安息香酸濃度によりAuナノ粒子の粒径制御が可能であることを見出している。メカニズムと粒径制御に関する知見が蓄積されてきており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分②に該当すると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、安息香酸を用いるAuナノ粒子合成が可能であることを見出している。今後は、光強度・照射波長ならびにpHの影響などを引き続き検討するほか、異種金属ナノ粒子、コアシェルおよび合金ナノ粒子の合成を進めていく。
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