研究課題
申請者らが独自に見出した安息香酸を還元剤・安定化剤として光化学的に金属ナノ粒子を合成する方法に基づき、機能性金属ナノ粒子を「光」により精密に合成する革新的ナノプロセシング技術の開発に挑戦した。2022年度は、安息香酸を用いるAuナノ粒子のプロセシングについて、粒子生成メカニズムの解明ならびに各種ファクターの粒径および粒子形状への影響を調べた。塩化金酸を含む安息香酸水溶液に室温下で光照射を行うと、Auナノ粒子が生成する。本方法では、塩化金酸-安息香酸錯体の光吸収により、安息香酸を電子源としてAu種の還元が進行する。この際、安息香酸の酸化と脱離したCl種の反応により、CO2とクロロフェノール類が生成することをNMRおよびGC測定により確認した。安息香酸および生成したクロロフェノール類は、AuNPs表面へ結合することによりナノ粒子を安定化させ、さらなる凝集を抑制する。本方法では、UV強度および安息香酸の添加量により、生成するAuNPsの粒径を制御することが可能である。安息香酸の添加量を増加させると、単分散な小粒子を生成させることが可能となる。これは、安息香酸の添加量の増加により還元速度が増加するため、多量の結晶核が生成し、核成長が抑制されることによる。すなわち、これらのファクターを制御することにより、簡便にAuNPsの粒径を制御することができることが分かった。また、安息香酸の添加量が多い場合には、球形ではなく、異方性のAuプレートが多量に生成することが分かった。これは、多量の安息香酸が(111)面に優先的に吸着することにより、(110)方向への粒子成長を促進するためと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
J. Photochem. Photobiol., A: Chemistry
巻: 430 ページ: 113949
10.1016/j.jphotochem.2022.113949
http://www.cheng.es.osaka-u.ac.jp/hirailab/home.html