研究課題/領域番号 |
20K21110
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大村 直人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50223954)
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研究分担者 |
白杉 直子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (80243294)
本多 佐知子 金沢学院短期大学, 食物栄養学科, 准教授 (60514916)
増田 勇人 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
祇園 景子 神戸大学, バリュースクール, 助教 (70533404)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 撹拌・混合操作 / 人間動作模倣 / 動作解析 / 撹拌動作 / 調理プロセス |
研究実績の概要 |
調理を中心として、人間が日常生活で行っている撹拌動作を調査し、リストアップした。その中から撹拌動作によって、味や外観などのでき栄えが大きく変化する生クリームおよび、抹茶の撹拌を研究対象とした。生クリームの撹拌では,熟練者による撹拌動作を粒子法による数値シミュレーションにより再現し、撹拌動作の違いによって、泡立て器が生クリーム表面に作用するせん断力の大きさが変化することを明らかにした。また、熟練者の撹拌動作には大別して垂直方向に楕円運動をするものと、生クリーム表面で水平方向に往復運動するものとの2つに分けられることを明らかにした。この2つの動作とも生クリーム表面を泡立て器が激しくかき乱し、シミュレーションで得られたように生クリーム界面での強いせん断により、脂肪球のネットワーク構造が微細化され、そのネットワーク構造に取り込まれる空気の取り込み量が増大することで、クリーミーな風味が出ることがわかった。抹茶の撹拌では、撹拌の性能評価指標として抹茶の泡立ちをとりあげ、抹茶の泡立てに重要となる成分のサポニンに着目することとした。実際の抹茶を使用する前に予備検討として、サポニン水溶液をモデル溶液として、サポニンの濃度を変化させて、モデル水溶液の泡立ちを調査することとした。この予備検討では,基準となる撹拌動作が必要となるため,モーターに泡立て器を取り付けた撹拌装置を使用することとし、現在撹拌装置を製作中である。泡立ちは,顕微鏡による気泡の形状や大きさの観察で評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に計画していた調理における撹拌動作のリストアップと、これまでの生クリームの撹拌における数値シミュレーションによる評価ができたこと、さらに抹茶の撹拌動作を新たに研究対象に加え、この抹茶撹拌に対して、2021年度からの本格的な研究に対する体制が整ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,抹茶の撹拌時の泡立ちに注目し、泡立ちに重要な成分であるサポニンを添加した水溶液をモデル液として、攪拌機、熟練書、非熟練者による撹拌を行い、泡立ちの性状を詳細に調べる。熟練者および、非熟練者の動作解析データから、抽出された要素動作において、回転周期、速度などの物理量により、動作の定量化を行う。この定量化された物理量を組み合わせた運動モデルを作成する。これにより、コンピュータ上で、撹拌動作が再現できるようにしておく。つぎに、得られた運動モデル式を用いて、粒子法を用いた数値流体力学計算コード(CFD)により、混合と泡立ての過程をシミュレーションする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外の出張ができなかったため、主に旅費分の予算が未執行となり残額が生じた。来年度は新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、出張が可能になれば、学会発表等を積極的に行うこと、計画当初予定になかった撹拌装置の制作に使用することで、次年度使用額を適正に執行していく予定である。
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